はい

非常に残念なオトコのはいのレビュー・感想・評価

非常に残念なオトコ(2023年製作の映画)
4.5
アジア系アメリカ人として生きる主人公の「理想」「社会一般的なイメージ」「現実」。
この3つが複雑に絡み合って、結果的に「白人女性を見ると鼻の下が伸びる変態」というレッテルを貼られてしまう話(ちょっと違う)。
面白くないわけない。
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2024年アカデミー賞での、ロバートダウニーjr とキーホイクアン のくだりを参考資料においてみる。

「アジア人男性としてアメリカで生きること」、即ち透明化され、優秀で善人であることが住人としての必要事項のような扱いを受けること。そりゃあ精神が磨耗し神経質になり自己肯定感も下がるだろう。卑屈にもなるのも仕方なくない?というかこうなる自信がある。
(にしてもとりあえず嘘つくのと自分のこと棚に上げて相手を非難することは止めましょう)

複雑なコンプレックスに振り回される"理想的ではない"人格が主人公になるのが既に画期的だ。
(アメリカ映画でのアジア人表象の単一性は言うまでもない)

白人女性と付き合ったアジア人男性への周囲の視線が「こいつやるな」なのに対し、アジア人女性と付き合った白人男性に対しては「先進的で内面を見ていて偉い」になったりする。
この類の非対称性がストーリーの背景にずっとあって、人物達もそれに自覚的でずっと居心地が悪い。その皮肉めいた台詞がいちいち巧い。

またストーリーラインもしっかりしており、「アジア人故の〇〇」といった属性アイデンティティの話から、その人の人物性固有性その人らしさの話へと帰着していくのがとても綺麗。
はい

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