現役の胚培養士として専門分野の偉人の伝記が語られるのは大変嬉しく興味深い。
女性の生殖補助医療は、女性の「選択」の問題であり、「選択肢」の問題である、という認識が作品の根底に深く横たわっていて信頼でき>>続きを読む
私達のこれまでは一欠片も失われていない、これからも決して離れてはいかないと、軽やかに歌い上げるこの映画、「September」、すごく尊い。
サブストーリーも充実していて、どちらにでも話を盛り上げられそうな内容だったので、メインストーリーがロマンスになったのは少しありきたり...
と思ったのも束の間。今作も、ここ数年で個人的に気に入った映画>>続きを読む
私がもしサックスやトランペットだったら、デイミアンチャゼルに記念写真を撮ってもらう為に行列でも並ぶ自信がある。
というのは置いといて、想像以上のパワハラ映画だった。現実に直属の上司がパワハラで後輩を休>>続きを読む
"お国"の洗脳によって知性を削がれた動物/状態がいかに愚かで言葉が通じず残虐かが克明に記されている。終盤は人間ではなくモンスターパニック映画のように見えた。この映画が日本で作られて良かったと思う。>>続きを読む
ずっと静かで穏やかででも見るからに複雑で心細くて不安。今目の前で起こっていることに対する無力感とか、無視できない自分とそうさせたい社会との折り合いとか。そういうざわざわする感じ。日々、ちょっとずつ傷を>>続きを読む
フィルムが止んだ瞬間から、自分の記憶の旅が始まる。時間や場所、記憶と密接な映画だった。
「人は過去に生きる唯一の動物だ」と、どこかで誰かが言っていた。
そのあまりにも恐ろしい真理を理解した上で、オープニングないしエンディングをホラー映画のような演出で撮っているとしたら、あまりに出来すぎて>>続きを読む
コメディパートが少し大袈裟なのと、序盤がストーカー気質で少し疲れた。
しかし、世界が目の前で暗転した時に笑わせてくれる人がどのような表情をしているか、全ての希望や喜びが潰えた時にそれでも笑っていられる>>続きを読む
この「社会」「私」「私達」を証明し得るものは存在するか。という問いの答えを何一つ想像できなかった時のこの虚無感ときたら。
愛に飢えた狂王の造形をもっと見たかった。
群衆に埋まるコロッセオは流石に見応えがある。
にしても改めて、飢えても疫病流行っても殺し合いショーを見せとけば気づかねーだろ、って思ってる王は民を舐めすぎだし>>続きを読む
死は、関係性を選ばせてくれない。残された者とそれを深める時間も尊いし、そのままの関係を維持することも等しく尊い。たとえどうであっても複数人がけの長いベンチのもとに澄んだ朝がやってくる。素晴らしいラスト>>続きを読む
いかにもなんかいい話っぽく終わろうとしてくるが、話の向かう先も結局その最後もあまり好きではなかった。
あれ、一つ一つの事象を早送り出来るほど理解って容易いっけ。社会って成熟してたっけ。観客は善人だったっけ。
悲惨→悲惨→悲惨が積み重ね上げられる次第に興味を少しずつ削がれてしまった。
この映画を調べると「俺たちに明日はない」に掻き消されてしまう。のが勿体無い佳作である。
過去の思い出を塗り替えまいと執着し続ける主人公は、観客にどれだけ打ち明けたのだろう。彼女は彼女の断片を欠片しか残>>続きを読む
全然愛着の湧かない3人に恋焦がれた。官能的で鮮やかで瑞々しい画面ににやけてしまう。少しの視線や動作の故意性を撮るのが巧い。
センスのある小さいSNSアカウントを見つけた様な気分。格好はつけまいと緩くや>>続きを読む
藤井道人の映画が苦手、というのを裏付ける為だけに見た。思惑は成功。実在する風景と実在しなそうな人物状況会話が絶妙に噛み合わない。それっぽいものをそれっぽいというだけで好きにはなれない。雪景色や在りし日>>続きを読む
鑑賞心地が良すぎて半分くらい寝てしまった。素晴らしいデトックス・リラクゼーション映画。夢の中で、どれだけ満タンにしても車のガソリンが信号待ちごとに1つずつ減っていくという体験をした。
ストレッチしただけで筋肉痛になるので、ご老体の躍動にびびる。ユーモアとそれを共有できる人がいればいいなと。そこにピザとパスタとジェラートがあればもっといい。ロンドンローマに行きたい。
本誌が最終回を迎え、アニメが最終編に突入し、作品が最も大きく呼吸をしている時に劇場版でこれはない。予定調和と既視感が苦しい。だけならまだいい。何より脚本が弱すぎた。ストーリーも造形も。
「力による支>>続きを読む
創作活動の意味を問い直し確かめる物語だ。
今作が「once upon a time in hollywood」に影響を受けたと聞いてあまりに納得した。「フィクションによって現実が救われて良いか」という>>続きを読む
この映画は殺人鬼それ自体にはさほど興味がない。警察と自警団という公/私を競わせながら、犯罪心理そして群衆心理を手玉にとっていく脚本は100年経つ今でも見応えがある。
クリストファソンって感じ。ファソンファソン。絶妙に語感が良くないよね。でも好き。
スパイダーバース、ミッチェル家の後に続くアニメーション。相変わらず美しい。画面停止をして切り取って凝視したくなる画の連発。キャラデザが抜群に良い。
同じ様に排除されてきた同じ境遇の同士と対峙し、排除を>>続きを読む
公開日より確実にクルド人への悪質なヘイトが強まっている。SNSを開けば強制送還をハッシュタグに付けたあまりに悪質な言葉の数々が画面を占める。わずか1%の与える気のない難民認定率。それが降りない人達を犯>>続きを読む
映画は己の無知を呪い、それまでの自分を恐れる装置だ。今はただただ「システムクラッシャー」と呼ばれる子供がいることを知らなかった自分が悲しい。ともすれば偏見の目で見ていたかもしれないという醜悪さが憎い。
ささないな判断や言動の曖昧なミスが積み重なっていく。見ているこちらにしてみれば徐々に胸の上に石が積まれていく加圧トレーニングだ。仕事で今まで経験したことのある不安や憂鬱の数々がいちいち思い返される。「>>続きを読む