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AIR/エアのloomerのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
3.5
ベン・アフレック監督作はその真っ直ぐなエンタメ感が好きなので公開を楽しみにしていた作品。
1984年のNIKE エアジョーダン誕生譚。

今ある程度以上の規模の企業でこんな仕事のやり方をするのは難しいだろうなあと思える主人公のワンマンな仕事の進め方にあまり肩入れすることができず、古き良きお仕事話をぼんやり眺めるテンションで鑑賞。あたしゃすっかりトップダウン方式、コンプラ遵守は当たり前、報連相の文化に骨の髄まで染まっちまっているのだな…と己の平凡な仕事観を改めて確認してしまった。

エアジョーダン誕生についても綿密なマーケティングをもとにチームワークで築き上げた一大プロジェクトというより、人たらしな才覚のある主人公が強引に周囲を巻き込んで動かした山師的プロジェクトの色合いが強かったのが意外だった。 
マット・デイモンのプレゼン場面も良いんだけど、実際の出来事を重ねての演出はなんだかずるいしうまいこと言い過ぎでは?とちょっとしらけてしまった感もあり…。
NBA好き、スニーカー好きの人はもちろん、ギャンブル要素があると燃える人はすごく楽しめるんじゃないだろうか。ちょっとnot for meな感じがした。

時代が時代なので主要メンバーや企業の重役はほぼ男性だったことに対してのバランスを図ったのか、ジョーダンの母が交渉のテーブルで強い発言権を握っているのが2020年代の映画っぽい。

作品内で一番良かったのは、エアジョーダンのデザイン周りの話。制作陣も、エアジョーダンの「カッコよさ」をとても大事にしているんだなあというのが伝わってきてグッと来た。デザイナーのピーターのキャラクターもなんとも言えないユーモアがあって好きになった。

あと、みんなエアジョーダンの発売後の売り上げ額が字幕出てた時めっちゃ気持ちよかったんじゃないかなと思う。下品な例えで恐縮ですが「この後めちゃくちゃセックスした」みたいな。「…………だよね!!!」って空気に場内が包まれた。

ちなみに一番笑ったのは代理人のフォークが喧嘩してサミュエル・L・ジャクソンばりにFワードを連発してるところ。キレ芸最高!
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