鹿shika

AIR/エアの鹿shikaのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
3.8
当時まだ世間に知られていなかったマイケル・ジョーダンと、後に”エア・ジョーダン”でスポーツ界に革命を起こすNIKEのバスケ部門との、パートナーシップ契約の誕生秘話が描かれる。

当時のバスケシューズの市場シェア
コンバース 54%
アディダス 29%
ナイキ 17%
当時のNIKEの地位にまず驚いた。逆にコンバースもバッシュを作っていたんだと初めて知った。
NIKEってずっとトップを走っているイメージだったのにな、、

そしてあの有名すぎるキャッチコピーの誕生秘話もそんな感じだったのかと、、。
「でも会社の新しいスローガン、俺は気に入っている。」
「まじか?由来を知っているのか?囚人が処刑される時に最後の言葉を聞かされた。その答えだ。」
「”JUST DO IT?”(やればいい?)それが由来、、?まさか、、」
めちゃくちゃ有名な言葉だけど、囚人の言葉だったんだこれ、、それも衝撃。
Twitterの青い鳥が解雇されて、黒い”X”のロゴに変更されて、嘆いている人がチラホラいるが、数年後にはこれが普通になっているんだろうな。
Instagramのアイコンも茶色のカメラから、今のレインボーのデザインになった時を思い出すなあ。

そんなことは置いといて、、
ソニーのプレゼンが素晴らしすぎる。大手様々な企業から、たくさんのオファーがあって、
ほぼ同じような条件だとやはり、ギャラの額などで決めることになる。
そこで予算的に不利なNIKEのソニーの、その場の思いを乗せたスピーチが、とてつもなく熱いのだ。

「人々はその偉大さに触れたがる。自分のためではなく、人々のために履いてほしい。
ここの誰もが、命尽きれば忘れ去られる。でも君だけは 永遠に記憶に留まる。不滅のものがあるからだ。
マイケル・ジョーダン、 君の物語は人々を飛び立たせる。」

マイケルジョーダンでしか、出来ないと言うこと。これからの未来の大変さ、苦労すること、楽しいストーリーだけではないと言うこと。
それをしっかり伝えた上で、NIKEはマイケルジョーダンを支持することをはっきりと宣言した。
そしてマイケルジョーダンだからこそ、他の人々が彼のようになりたい。彼へ向けられる尊敬の目が向けられること等を、見抜いて伝えたのだ。
デザインのペナルティも毎試合、NIKE側が払うとさえ言う。これは予算やギャラの話ではないのだ。

しかしソニーもこれ以上、自分1人の一存で決めるわけにはいかず、断わざるを得なかった。しかしそんな彼を見た、常に守りの姿勢だったCEOの感情の変化、ソニーとの2人の会話がとても印象深かった。CEOの一言。

“Fuck it. We should do it.” (くそ やるべきだ。)
“You’re remembered for the rules you break. Close the fucking deal” (ルールを破れば名が残る。契約しろ。)

その後の、”Hey,Sonny! That’s how I built this company.”(ソニー! こうやって起業した。)
”I get it, Phil.”(分かるよ)
この会話が、個人的に思う好きな映画の会話ランキングの上位に食い込んだ。
こんな熱い会話が、実際にあったと思うと、エアジョーダンを履いている人を見るたびに、胸がグッとなるだろう。
ずっとディフェンスのように会社を守ってきた彼が、少し汚い言葉を吐いて決断するシーン、NIKEがオフェンスに変化した瞬間を見た気がした。
このシーン、嫌いな奴おるんか?笑

自分はまだ小娘でして、仕事なんて「遊ぶために仕事する。生きるために仕事する。」と友達と励まし合いながら仕事をしているが、全身全霊で仕事をするソニー達の姿を見て、こんなに情熱的になれる仕事って、、と魅力的だと感じた。
もちろん「遊ぶために仕事をする」と言うマインドも大切だと思っているが、職場の人と同じ方向を向いているということがとても羨ましく感じた。
自分のマインドも、もう少しくらい上げてみようか!!!
、、いや、やっぱり仕事は嫌いだ。もう少し駄々捏ねさせて。

しかしラスト、ソニーもランニングしようとして「やっぱ無理だw」諦める描写、
この描写でこの映画は傑作なのだと再確認した。
「あくまで、自分のペースで行きましょう」と言われた気がして、こちらの鼻息も和らいだ。
自分のペースで生きましょうや!やっぱり仕事は遊ぶためにする!
鹿shika

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