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カンダハル 突破せよのRのネタバレレビュー・内容・結末

カンダハル 突破せよ(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2023年のアメリカの作品。

監督は「エンド・オブ・ステイツ」のリック・ローマン・ウォー。

あらすじ

イラン国内に潜伏中のCIA工作員のトム・ハリス(ジェラルド・バトラー「ロスト・フライト」)は任務中にCIAの内部告発により機密情報が漏えいし、全世界に正体が明かされてしまう。即刻ミッションを中止し、中東からの脱出を図るトムが目指すのはアフガニスタン南部、カンダハルのCIA基地。イランの精鋭集団コッズ部隊やパキスタン軍総合情報局(ISIS)など様々な勢力がトムの身柄の確保のため襲いかかる中、果たしてトムは敵の追ってを逃れ、無事カンダハルにたどり着くことができるのか?

みんな大好きジェラルド・バトラー主演作。昨年末に公開された「ロスト・フライト」がかなり個人的に刺さった作品だったので、同じバトラー主演で昨年公開されたもう一つの作品だった今作も観てみようと思い、アマプラで鑑賞。

お話はあらすじの通り、ジェラルド・バトラー主演ということで、いつも通りの明朗快活なアクション!という感じかと思いきや、序盤から中東情勢問題によるきな臭いシーンの勢いが凄くて困惑。加えて、複雑なそれぞれの勢力図を把握するのがただでさえ馴染みのない中東の俳優陣を見てもわからないのに、バトラー含めてみんなひげもじゃなので全然誰がどいつかわかんねぇ笑。だから、どちらかと言うとジェシカ・チャスティン主演の「ゼロ・ダーク・サーティ」観た時みたいな難解な戦争映画って感じでこれは大丈夫なんか…?と普段わかりやすい作品ばっか観ているから、不安になってくる。

ただ、バトラー演じるトムの情報が漏えいされ、身元が割れてカンダハルに向かう中盤から一気に面白くなる!!開始40分くらいからずっと逃げるターンに入るんだけど、ただでさえ中東という今1番危険な国の中にいるのに、身バレしたことで精鋭部隊とかISIS(イスラム過激派組織)に狙われる四面楚歌状態。しかも、こっちはトム以外だと案内役の小汚ねー爺ちゃんたった1人というほぼほぼ孤立無縁、まさに無理ゲー!!

ただ、そんな過酷な状況を自らのマンパワーとスキル&テクニックでクリアしていくのが我らがジェラルド・バトラーなわけで、今回の主人公トムもなんだかんだ切り抜けていく。

まぁ、初っ端から街中で渋滞に巻き込まれながらコッズ部隊とISISと三つ巴になって車でゴリ押しで逃げたり、案内役のモー(ナビド・ネガーバン「アラジン」)の息子を殺した原因であるテロを起こした組織のボスのところに匿われて、モーがブチギレ寸前になって一触即発状態でピリついたりとその一つ一つが生きた心地がしない…。

特に新鮮だったのは中盤の夜の荒野でのヘリとの攻防のシーン。車を走らせていると「なんか音がしねぇ?」となってサイドガラスから空を見るとバララララッとめちゃくちゃヘリからこっちに銃向けとる!!もちろんこちらは夜目が効かないので暗視ゴーグルをトムがつけるんだけど、夜の真っ暗闇の中行われる銃撃戦は暗視ゴーグルをつけての闇のシーンとそこからトムの攻撃でヘリが墜落して爆発した際に一気に爆発で画面が明るくなる(そしてトムの立ち姿のかっこよさ!!)、光のシーンの対比がめちゃくちゃバシッと決まっていて、夜間戦のシーンはあれど、ここまでヘリを絡ませた戦闘シーンはあんまり観たことがなくて面白かった。

また、トム以外だと案内役のモーが巻き込まれた小汚いおじいちゃんだと思っていたら、話してみると意外とトムと同じ家族想いのお父さんで、仲を深めていくんだけど(と言うことで死亡フラグ立ちまくり)、まぁトムはジェラルド・バトラー補正で死なないとして、このおじいちゃんがトム以上に危ない目に遭うのでいつ死ぬんじゃないかとハラハラドキドキして、すごく感情移入できた。

ただ、それ以上に本作屈指のMVPはトラビス・フィメル演じるローマン。どうやらトムと同じCIAなのかな?そもそもトムに無理言って中東に行かせた張本人でその時もなんか豪邸にセレブ呼びまくってどんちゃん騒ぎして、「娘の奨学金が必要なんだろ〜。ほれほれ」と札束を積んで任務に行かせようとする、なんか信用できないやつなんだけど、終盤、敵に囚われて「もはやここまでか…」と観念した時に、部隊引き連れて助けに来てくれた時の「やぁ、トム😁」はずるいよ!!

しかも、その後、ISISのイケメンに後続で追われることになり、カーチェイスが始まるんだけど、車内のサンルーフから身を乗り出して後続の敵とアサルトで銃撃していて、敵の銃弾で重傷を負っちゃうローマン。そんで敵に詰められちゃってピンチに陥っちゃうんだけど、トムの制止を無視して、1人車から飛び降りて、1番重傷を負っているのにその場に残って戦い続けるローマン。

ただ、やはりその抵抗も虚しくやられちゃうんだけど、その死に様がスローにドラマチックに演出しているのもあって思わず「ローマーーーーン😭!」と叫びたくなった。いや、前半との落差がありすぎて…もうなんか、かっこよすぎ。

そんでクライマックスはそれでも追いかけてくるISISのイケメンに車を爆発されて、もうやるしかない!と一騎打ちになってイケメンを倒したはいいものの、その後からワラワラとISISが車で大挙して押し寄せてきて、逃げる術もないし、遂に観念して2人で「こんなことになってすまない…」と遂に観念して諦めてたら、上空からの空中爆撃…半端ね。

ラストは戦争で家族を失った者の悲哀も描きつつ、トムとモーそれぞれが家族と再会できて、本当に良かったね…。

同年公開の「ロスト・フライト」と見比べると全然テイストが違う作品だけど、だからこそ見比べるとそれぞれ違う面白さに溢れてて、やはり「戦う男」ジェラルド・バトラー作品はハズレなし!!と思わせてくれる作品でした。
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