みきてー

法廷遊戯のみきてーのレビュー・感想・評価

法廷遊戯(2023年製作の映画)
3.5
予告の丁々発止な騙し合いムードは虚偽広告で、ふたを開ければ硬派な法廷ものだった。令和二大目が死んでる俳優によるアンサンブルが贅沢である。間に挟まれる杉咲花は添え物ヒロインに留まらず、狂気に満ちた演技を見せる。振り返ってみれば実質の主役は彼女だったかもしれない。

舞台となるロースクールでは、ストレス解消の名目で無辜ゲームなる“遊戯法廷”が流行しているという設定だ。このゲームのルールがいまいち曖昧な上に、なぜか洞窟のような野ざらしの廃墟でやるわ、三又燭台にろうそくを灯しているわで、嘘くささ(というよりラノベ臭か、共感性羞恥がすごい)がとてつもない。加えて観客にとってのチュートリアル無辜ゲームの被告である戸塚純貴の過剰なせりふ回しが、さらに状況の滑稽さに拍車をかける。このシーンが呑み込めればあとは楽しい映画だと思う。ちなみに戸塚くんの怪演自体はすばらしいです。

ラストで杉咲花は罪を背負った笑みを浮かべる。対になる永瀬廉は罪の重みから解き放たれたような笑顔をしている。2人の表情がカットバックされ、決定的に道を違えてしまった事が明言される。いい演出だった。
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