通りすがりのいがぐり

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーの通りすがりのいがぐりのレビュー・感想・評価

5.0
ハマるな 堕ちるぞ

RackaRackaというYoutuberグループがいた。パロディーをやりながら過激な暴力描写満載でハイテンションで過剰なカオスに溢れた動画を作り続けていた。海外TLを漁っててよく見かけるFBI突入場面のmeme(ドアが吹き飛び天井を突き破り女性の悲鳴が響く中花瓶をフルスイングするアレ)も彼らの動画が元だ。フィリッポウ兄弟が動画製作はやりきったと、インタビューで答えていたのを知ったのは最近。彼らの動画が恋しいが、この映画はそんな寂しさを恐怖で上書きしてくれた。

呪物を用いた90秒憑依チャレンジという恐ろしい遊びを基点に描かれる、1人の女子高生が堕ちてゆく姿を描く破滅ホラーである今作。依存先を怪異に置き換えながら、ホラーというジャンルを駆使しながら多種多様となった"依存"の先にある破滅を見事描き切れていた。喪失感を紛らわすため"みんなやってる"、"気持ちいい"からと薬物の一歩目となる要素に惹かれて始まる危険な遊びは滅びの始まり。ジャンプスケアもあるにはあるが、恐怖のどん底に落としにかかる時はJホラーをリスペクトした悍ましさで落としにかかる。RackaRacka印の暴力描写も丁度良いエグさと悲惨さが際立つまでに進化してるのも長年見続けた身としては大変嬉しいサプライズ。そんなエグさに人間関係が拗れに拗れ続けるしんどさも加わるので、我々観客はこの新時代の悪夢から逃れることはできない。
それが本当に楽しくて怖くて面白かった。

推していたグループが新たな一歩を踏み出した今作。長編作品初監督ながら見た者に傷跡を残し続編まで決定してると大健闘を続けている。是非大きなスクリーンで依存性の恐ろしさの果てにある破滅を見届けて欲しい。きっと今の自分の立ち位置を確認したくなるかもしれなくなるからね。
自分がいる依存先は本当に安全?って