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ドミノのRのネタバレレビュー・内容・結末

ドミノ(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

※後半部分の「どんでん返し」にも触れています。

映画館で。

2023年のアメリカの作品。

監督は「フロム・ダスク・ティル・ドーン」のロバート・ロドリゲス。

あらすじ

オースティン警察の刑事ダニー・ローク(ベン・アフレック「ザ ・フラッシュ」)は最愛の娘ミニーを失った悲しみから立ち直れない日々を送っていた。そんなある日、相棒のニックス(J・D・パルド「あの日、欲望の大地で」)と共に特定の銀行を襲おうとする強盗がいるという匿名の通報を受け、銀行に向かったダニーはそこでひとりの怪しげな男(ウィリアム・フィクナー「僕らをつなぐ歌」)を目撃する。いとも簡単に周囲の人々を操る男を追ううちに、やがてダニーは現実と見紛う「世界」に踏み込み、追い詰められていく。

シネマトゥデイかなんかの記事で初めて知った時から、大好きな監督ロバート・ロドリゲスの最新作でベンアフ主演ということもあったけど、あらすじがずっと気になっていて10月公開の中ではかなり注目していたので、休みの今日早速行ってきました。

ただ、公開前、原題が「Hypnotic(催眠)」でお話の特性上、てっきり日本題もそのままでいくのかなと思ってたら、蓋を開けたら、急に「ドミノ」になってたからちょい困惑。ただ、この「ドミノ」というタイトルも内容を追っていけばその意図もわかってくるし、なんか「スコア」とか「ヒート」とか90年代後半から00年代初頭のあの男臭くもも味わい深い感じ雰囲気を感じさせて、これはこれでまた良しかな…。

で、結論としては、まぁまぁ…面白い!ただ結構変な映画でした笑。

お話はあらすじの通り、ベンアフ主演のサスペンススリラーとジャンルづけたらいいのかな?で、またベンアフが良いですねー。この前の「ザ ・フラッシュ」でもバットマンを演じてたけど、なんかあの頃に比べると…痩せた?なんつーか、年齢相応の老け方をしていて(まぁ、ブルースがイケオジ過ぎたってのもあるがw)、だからこそ滲み出る渋みが良かった。

で、今回そんなベンアフ演じる刑事ダニーなんだけど、どうやら過去に娘ちゃんを誘拐されて今も行方知らずと、で心神喪失気味で治療も受けていると。

冒頭、カウンセラーの会話からその時のシーンが流れるんだけど、ここでの会話で衝撃的だったのはダニーのセリフで「少し気を逸らした隙に」とかカウンセラーが「よくあることよ」なんて誘拐について話していたり…え?俺子どもいないけど、世のお父さんお母さんは普段子どもを遊ばせてるだけでこんなに神経張り詰めて見守ってるの?すげぇな…つか、この世の中がどうかしてんのか。

で、そんな失意のダニー、この気持ちを紛らわすためには仕事に精を出すしかないということで、匿名で通報があった強盗があらわれるらしい銀行に赴くんだけど、そこに現れるのがウィリアム・フィクナー演じる謎の男。

フィクナーといえば、大ヒット海外ドラマシリーズ「プリズン・ブレイク」でのマホーン捜査官があまりにも有名だが、他にも上記にあげた「ヒート」とかノーランの「ダークナイト」でちょい役だけど、冒頭からショットガンを乱射する銀行員役とか、まぁ色んな作品でチラホラ見る、悪役が似合う顔立ちのバイプレーヤーな役者さんなんだけど、個人的にはニコケイ主演作の「ドライブ・アングリー」で演じた監査役があまりにもカッコ良すぎる!!あの死神然とした超存在で不敵でニヒルな感じが未だに忘れられず、フィクナーが演じたキャラクターの中でもお気に入り。

で、そんなフィクナーが演じるから今作でもまぁ一癖あるキャラクターなんだけど、今作で演じる謎の男「デルレーン」は言ってしまえば原題通り「催眠」を使う男。なんだけど、今作では「催眠術」より上の「ヒプノティック」という能力を使う超能力者。その能力は絶大で目線を合わせて少し会話しただけでそのヒプノティックで脳を支配する「スイッチ」を押して、対象を死ぬまで操ることができるという、かなり凶悪な能力を持っている。

例えば「今日はいい天気ですね」という日常会話をしただけで隣のベンチに座ったマダムが脱ぎ出したり、警備員がたちまち強盗に早変わりしたり、かと思えばダニーとその同僚に追い詰められた際に同僚同士を同士撃ちさせあったりとまぁーチート級の能力で神出鬼没にダニーの前に現れては追い詰めていく。

また、この能力、対象の見ている世界すら変えてしまう特性もあって、それがよく現れているのが中盤、ダニーが列車の停留所?みたいなところでデルレーンに追い詰められるんだけど、そこでは横並びの列車がダニーが見上げる上空にも時空が歪んだ状態で無数に現れていて、まさに「現実」と「虚構」がないまぜになった異次元感!まぁ観ている人の大多数はノーランの「インセプション」を彷彿とさせるショットなんだけど、これだけでもこのデルレーンの能力が強大なことが窺える。

で、このデルレーンに対抗すべく、協力を求めたのがアリシー・ブラガ(「ザ ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結」)演じる霊媒師のダイアナ。実はこの人も「ヒプノティック」の能力者でデルレーンほどの強大な能力は持っていないんだけど、それでも普通に人を操れることができて、特にダニーの相棒のニックスを自己紹介がてら簡単に操るシーンはニックス役の人の途端にコロコロとその命令に従って行動する様子含めて(「気分転換に言ってくる!」じゃねーよ笑)、なんか面白かった。

で、そんなダイアナからヒプノティックの能力者たちは「機関(ディビジョン)」と呼ばれる組織によって生み出されたこと、そしてそんなヒプノティックたちの中でも最強の能力者であるデルレーンがヒプノティックたちを自在に操ることができる「ドミノ計画」と呼ばれるものの記憶を取り戻し、完全復活を遂げようとしていることを聞かされるダニー。ダイアナと行動を共にしていく中で、その関係性も徐々に縮まり、そしてその度にデルレーンが現れては追い詰められて、また謎も深まっていくんだけど…。

今作、実は「どんでん返し」映画でもあって、ここからはネタバレに入っていくんだけど、実はダイアナこそがダニーの奥さんで、そんな2人の間に生まれた娘のミニーこそが「ドミノ計画=ドミノ」と呼ばれるデルレーンを超える最強の能力者だったことが明かされる。

また、その上でデルレーンはじめ、ダニーの周囲の人物含めて全て「機関」の人間であり、ダニーが見ている世界その全てが「偽り」の世界で成り立っていたことがわかる衝撃的な展開。

で、なんでそんなことをするのかというと要は誘拐されていたと思っていたミニーはその能力で世界を思うままにしようとしていた機関から逃れさせるためにダニーが仕組んだことであり、記憶を「リセット」したダニーからその居場所を聞き出すために「わざわざ」こんな手の込んだことをしたというわけ。

で、この「わざわざ」というのが後半の面白みで、後半からのどんでん返しが明かされると、ダニーが見ていた世界の裏側が明かされるんだけど、ヒプノティックの能力なのか、機関の見せる立体映像なのかわからないけど、ダニーが見ていた世界は全て大掛かりなセットとエキストラで構成されているんだけど、前半あれだけ緊迫感があった世界観が裏側を見ると骨組みだけのセットの中だったり、外だったりを真っ赤なスーツを着た機関のエキストラたちがそれぞれの役に従って行動している図がめちゃくちゃ笑えて、なんか映画それ自体の舞台裏の映像観ているみたいでめちゃくちゃシュールでもあったw

で、このディビジョンっていう組織、デルレーンこそが組織のトップらしくて、ダイアナもその二番手くらいの組織の一味だったことが発覚もするんだけど、その上でその頃には全ての記憶を取り戻したダニーがまだ口を割らないので、「13回目の(つーことは12回もこんなこと繰り返してたんか笑!)」リセットを行うんだけど、実はその時にはダニーはリセットされてはいなくて、途中で逃げ出して、ドミノ=ミニーの元へ向かう。

ミニーはダニーの養父母のもとで匿われていたんだけど、その匿われている家に入ると、作中や予告、そして日本題でも取り扱われていた真っ黒な「ドミノ」がパタパタパタパタ…と規則的に倒れていき、その倒れた先を追っていくと成長したミニーと再会する。

で、この成長したミニー役のハラ・フィンリーって子役の子、あれ?どっかで観たことあるなぁ…とずっと考えていて思い出したんだけど、同じロドリゲスの監督作でNetflixの独占配信の作品「ヒーロー・キッズ」で、描いた絵の出来事が現実になる「予知能力」を持った、劇中でも1番印象的だったあの子じゃないか!!あの時より、更に成長してキュートな美少女になっているんだけど、この子がまた一番おいしいところを持っていく!!

クライマックス、ダニーを追っかけてデルレーン率いる機関が大挙してやってくるんだけど、ダニーの後から満を辞して登場したミニーがどこか余裕を含み、だが冷酷でもあるその一瞥で放つヒプノティックの能力によって、時空が歪み、機関の一味が瞬く間に同士討ちをし始めて全滅する様はカタルシスにも溢れつつ、あの最強だったデルレーンが狼狽える様含めて、震えた。

いやぁ、あの「ギンッ!」と言う効果音が聞こえてきそうな、あの目。観終わった今もちょっと忘れられない笑。いやぁ、流石、子役映画でも実績を残しているロドリゲス。この子は今後、化けるかもしれん!!

まぁ、お話的には後半のどんでん返しから「え?つまりどういうこと?」とちょっとヒプノティックの能力が万能すぎてちょい混乱するところがあったり、列車のシーン含めてインセプションみたいな異次元なシーンもうちょいあっても良かったかな?と思う部分もあるけど、何より今作上映時間がなんと94分とかなりタイトに絞っているので展開もサクサク進み、中弛みしそうなところで急展開に入るので、2時間とか3時間超えが当たり前の昨今のビッグバジェットな作品の中、とにかく見やすかった。

ダイアナも洗脳が解かれ、ミニーとも再会し家族が元通り、めでたしめでたし…と思いきや、デルレーン復活!のおまけ含めて続編ありありな感じで終わったけど、まぁこれなら続編全然ありかも!!まぁでもその時はもっとインセプションなヒプノティックと、とにかくミニー役のハラ・フィンリーちゃんの活躍をもっと観たい!!
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