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アイドルマスター シャイニーカラーズ 第2章の雑記猫のレビュー・感想・評価

2.1
 アイドル育成ゲーム『アイドルマスター』シリーズの1ブランド『シャイニーカラーズ』のアニメ化作品。本作は来年春から放送されるTVアニメの5話から8話までを1本の劇場作品に編集したものとなっている。

 本作に登場する4組のアイドルユニットの紹介を一通り終えた第1章を引き継ぎ、この第2章ではアイドルユニットの全国大会W.I.N.G.に挑むアイドルたちの姿が描かれる。このW.I.N.G.を巡る物語を経て、本作の味というか色のようなものが見えてきたように思われる。この第2章では6話に相当するパートでW.I.N.G.に向けての各ユニットの特訓風景が描かれ、7話に相当するパートでW.I.N.G.後の各アイドルたちの反応が描写される。この7話の中で、4組のアイドルユニット全組がW.I.N.G.で敗退したことがそれとなく描かれるのだが、面白いのはW.I.N.G.本戦自体がほとんど描写されないどころか、この敗戦から彼女たちが立ち直る過程すらほぼ描かれないところだ。もちろん全くそういった描写がないわけではないのだが、本作ではむしろその精神的なショックを経て、アイドルたちが立ち直り、次の目標に向けて歩み始めている姿を描くことで、間接的にW.I.N.G.直後から今に至るまでの行間を観客に想像させる構成になっている。アイドルアニメとしては、この語りすぎない構成はかなり挑戦的な作りと言えるだろう。

 一方、全体のストーリー自体はかなり平板な印象を受ける。作中の大きなイベント、この第2章で言えばW.I.N.G.本戦は、前述の通りほとんど描写されず、ストーリーの3/4がひたすら前日談と後日談で構成されており、物語の起伏がほとんどない。また、キャラクターもポップな割にクセがないので、物語全体が「性格の良い真面目な子たちが、とにかく地道にコツコツストイックに練習をする」に終始しており、兎にも角にもストーリーに抑揚がないのである。登場人物たちにギスギスしてほしいわけではないが、『アイドルマスター(2011)』や『アイドルマスター シンデレラガールズ(2015)』にあった苛烈なものに魅せられたファンとしては、この薄味なストーリーはかなり物足りなく感じる。そういったわけで、ストーリー自体が面白いわけではないので、本作に入れ込めるかどうかは、登場するアイドルたちにどれだけ愛着を持っているかに大きく左右される。そういう意味では既存のファン向けのコンテンツという色合いが強いと言えるだろう。

 この第2章では8話に相当するパートから、登場するアイドルたちが所属する283プロダクションの合同ライブへ向けて物語が進んでいく。この合同ライブ編では、それぞれのユニットの物語が全く交わらずにストーリーが進行していた4組が遂に一同に介することとなる。これまで焦らしていただけあって、他のアイドルマスターシリーズのアニメにはなかったクロスオーバー感が強く、このオールスター感はかなり新鮮である。来年公開の第3章では、それぞれのユニットのメンバーの交流によって新たな化学反応が起きることを期待したい。
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