冷蔵庫とプリンター

マディのおしごと 恋の手ほどき始めますの冷蔵庫とプリンターのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

 天下のジェニファーローレンス、今や引く手数多、幾らでも仕事を選べる大御所女優である彼女が、ロマコメ(しかも題材からして、低俗さにおいて定評のあるジャドアパトー系のセックスコメディ)映画史をアップデートしてくれるという出所不明の噂を聞きつけ、同じく低俗な感性を持つ身としてはなんとしても見なければならないと気負い込んでいたが、当然の如く配信スルーとなり(ある意味本作に相応しい、ダサ邦題を引っ提げて)今日に至る、そんな本作だが、これがもうどうしようもない駄作であった。
 序盤こそジェニファー姉さんが気合いの全裸プロレスによって観客を鼓舞する怒涛の展開で疾走するものの、後半は肝が冷えるほどに失速し、よくわからないほんわかラストへと、何一つ目新しいものが見出せないままに進んでいって失望した(そもそも「男女の友情が成立する」信仰は宗派が違うので気に入らないのだがそれはさておき)
 観光地を舞台に据えることで経済格差を前景化させるところは今っぽい(もはやクリシェ)だが、富裕層代表としてナヨっとした弱者男性(Z世代)を当てがってしまったせいで風刺の対象がブレブレ。言ってしまえば、過保護な両親以外になんの問題もないただ内気なだけの弱者男性を救済する根本的な理由に乏しく、実はナイスガイでしたというところもあんまり上手く描けていない。『フェリスはある朝突然に』オマージュで親の車を破壊したりするのだが、残念なことに本家よりも遥かに描写がしょぼい。
 とはいえ持ち前の低俗な感性によって、フィンガートラップの天丼ギャグには不覚にも笑ってしまったが、そのほか特に印象に残ったシーンは皆無だった。