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攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間のiszkaのレビュー・感想・評価

4.2
ネトフリオリジナルの総集編シーズン2

攻殻機動隊ならではの近未来的諜報戦はあまりなく、CG映像が成せる物理的な戦闘シーンの迫力に重きを置いていた感じがするので、従来のファンの意見が別れるのはわかる。

とはいえ、哲学的情緒を残すような構成をしており、その点においては攻殻機動隊らしくて面白かった。
本当に文字通り「解釈が委ねられる」作品であり、観ている私たちがまさに"二重思考(ダブルシンク)"状態にならざるを得ないという気持ち悪さは、それこそジョージオーウェルの『1984』の読後感に似たものがある。

持続可能戦争、ポストヒューマン、N、、と色々あるが結局元を辿れば人間の罪深さから生まれたものであり、このようなディストピアはそう遠くない未来に必ずやってくると私は考えている。 
恐ろしいのは、この作品にしても1984にしても何の解決策も提示できていないという点であり、予想される未来がただ表現されているだけなのである。

草薙素子のように達観した視点でこの現実と電脳の境目があやふやな世界を浮遊するのか、シマムラタカシのように郷愁という過去の時間に囚われながら生きるのか……。
面白いのは、後者を「最後の人間」としている点であり、やはり攻殻機動隊はある種の人間賛歌なのだなと思った。
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