sakura

ABYSSのsakuraのレビュー・感想・評価

ABYSS(2023年製作の映画)
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映画を観る前に、Call If You Need Meというラジオ、#スプートニクの恋人 のなか、Familiar hell とUnknown heavenのお話を聞いていた。Familiar hell とは、慣れ親しんだ地獄のことで、Unknown heavenとは未知の天国のこと。お話しでは、Familiar hell を選んではいけない、Unknown heavenを選びなさい。というようなことを話していて、それでもUnknown heaven“未知の天国”を選ぶと言う行為は、自分の欲求や誰と何をしたら楽しいのか、何をしたら嫌なのかわかること、それに敏感であることが大切で、それはやはりとても難しいことで、多くの人がFamiliar hell “慣れ親しんだ地獄”をふつうに選んでしまうのだと思う。ほんとうにそうだと思いながら、自分ごととして考えてみるときに、果たして。と迷う感情を抑えられずにいた。
そして映画館に向かうと『ABYSS』は私にはまさしく今考えていたFamiliar hell “慣れ親しんだ地獄”とUnknown heaven”未知の天国”の話だと感じた。
うつくしいシーンの数々がどうにか、ケイの心を繋ぎ止めるような、カラスが飛ぶシーンや、やっぱり夜にしか踊れない海に似た名前のルミ、ケイがだいすきだった女の子、逃げる気持ちも、どこに逃げたら良いのかもわからないまま、ふたりは渋谷を走り逃げ、また渋谷に帰ってくる。渋谷の喧騒はふたりをこの街に溶かし、生きるをただつなぎ止める。
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