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ミッシングのtakunのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
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泣ける映画が必ずしもいい映画とは思わないけど、内容が内容だけにずっと悲しかったし、よかった。急に茶化すカメラマン、心のどこかで見つかると思ってなさそうな中村倫也、転がるゴミを這いつくばって撮影したり、誕生日をでっちあげたり、印刷してもらって直ぐに行方不明の子が見つかったり、言い出したらキリがないけど、吉田恵輔は本当に性格が悪いんだと思った。この監督の映画に出てくる登場人物が、良かれと思ってしたことは、大抵裏目にでるようになっているが、このあまりにも悲観的な物事の見方は、一周回ってセラピーだなあと思った。
最初、石原さとみが吉田恵輔の映画っぽくないなあと思ってたけど、あの過剰な演技がいい意味で作家性を排除していて、平坦になりそうなストーリーに起伏を生んでいた気がした。いや、そもそも当事者ではないのだから、過剰かどうかなんてわからない。あまりの迫真の演技に笑ってしまうときがあったが、その瞬間に、沙織里を嘲る映画内の人々と自分を同一化する。警察官の、中村倫也に対する「事実が面白いんだよ」の言葉が、2000円を払って観にきている自分に返ってくる。
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