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ぼくたちの哲学教室のkikimilliのレビュー・感想・評価

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)
4.0
「大人とは何か?」
よく色々な場面で取り沙汰される問いだけれど、私はこれに対して「未成年に対して責任を持つ20歳以上の者」とだけ答える。

最近私はよく、子どもの教育について考える。私の通った小学校はアクティブラーニングや対話、クリティカルシンキングといったカリキュラムを体現しているような学校だった。私たちはどの授業でも自身の考えを発表し、他人の意見を否定せず、疑問を共有していた。そういった教育を受けた私は今、大学の哲学科に在籍している。

このドキュメンタリーは、私が哲学に惹かれる理由を説明してくれるような映画だった。人間ははるか昔から同じテーマに悩み、対話を繰り返し、真理を求める。他者の考えを尊敬し、既成概念を疑い、自分の言葉で世界を解釈する。これらは切実に、人間らしく生きるために必要なことだと思う。

子供は聡明で、空気を読む。大人が望む正解が分かってしまう、映画を見ても分かるように子供には驚くほど深く考える力が備わっているのに紋切り型の答えを暗記して、それを繰り返すことで自身の思索を忘却の彼方へ捨て去ってしまう。

私は、時間がかかっても、合理的でなくても、自分で考えて自分の言葉で語る哲学的思考の枠組みを子供たちに教えることが教育や社会(大人)の義務だと思う、切実に思う。

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ロンドンにいた時にダブリンにも行った。イングランド領であった過去、そして北アイルランド問題の話題はタブーとされており、ブレグジットでさらに分断が進んでしまったことを知っていたので、この教育が北アイルランドで行われることの意義がよくわかる。

エルヴィスが好きな校長、ロックやね♪ロックスターはみんなアイルランドにルーツあるしね。あとパンフレットにブレイディみかこさんが寄稿していてハッピーになた。
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