このレビューはネタバレを含みます
南博さんを南(3年後の南博)と博(3年前の南博)に分けた上で、その2人に起こった出来事を同じ1日にまとめるという方法。前半は、同時に池松さんが2人出てくるというところに理解できず、何が起こっているのかわからなくなる。また、同じ1日にすることで時間軸が複雑になり、混乱する。ただ、だんだん分かってくるのが面白い。それは、演出やストーリーの力もあるだろうけど、池松さん演じる南と博が、最初は別の人に見えるけれど、少しずつ同じ人に見えてくるからだと思う。池松さんのお芝居はやっぱり好きだなぁと。特に、最初の方の南を演じる池松さんが個人的にお気に入り。上映後のティーチングでも話に出たけれど、"あいつ"と三木という、愛嬌のある少し笑えるような役が、映画の中でアクセントになっていて、最後まで面白く見ることができた。この映画は、ピアノの演奏の場面が多くあり、ピアノの低音を弾いているときは映画館の床が震えていたのを足から感じることができた。映画館で見ることで、身体全体でこの映画の空気を感じることができると思った。この映画の、昭和感がめちゃ好きだった。
あと、映画のこではたいけれど、冨永監督が誰かに質問されても「あんまり覚えてないんですけど」とか「忘れちゃったんですけど」って最初に言ってから質問に答えてくださることが多くて。これは、本当に忘れちゃったのか、詳しいことは秘密にしたいのかどっちなんだろうなと。なんだか、自分で作った作品のポスターの前でふんわりされている監督がなんだか面白いなと思いました。
最後に、クリスタルケイさん歌うますぎです。
