このレビューはネタバレを含みます
事前情報なしに見たので何故過去(博)と現在(南)が入り混じり、しかもそれが1日の内におさまっているのか視聴中かなり戸惑った。
でもよくよく考えると劇中主人公(南)が「何を弾いてるかを忘れてしまう。」と言っていた。
つまり彼にとっては現在、過去が同時に起こっている。ピアノを弾く間は時間を忘れられるしその感覚はやがて日常生活にも影響するほど彼は音楽にのめり込んでいたのではないか。
監督は主人公の頭の中をそのまま取り出したような映像にしたかったから特に説明しないようにしたのだと思う。
という感じで自分なりの解釈をすれば割と内容がすんなりと理解できた。
そう考えていくと最後のシーンで現在の主人公南は日本の帰国後に昔を懐かしむようにピアノを弾いたのだと思うし、そうではなく過去の主人公博は自分の道を見つけ決意したかのようにピアノを弾いたとも解釈でき、2通りの解釈ができるような気がした。
なかなか初見では監督の意図が掴みきれなかったのが悔しい。これを踏まえてもう一度見てみたいと思った。
音楽や、街並み、映像美は見事でとても酔いしれる。これだけでも見に行く価値はあると思う。
この突飛な脚本と美しい映像と音楽がなかなかの中毒性で、頭から離れない。もしや頭で内容を理解する必要もなくただ眺めて鑑賞するという方法もあるのかもしれない。
それこそが音楽、芸術を感覚的に理解するということだと伝えたいようにも思える。