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PERFECT DAYSのayellowbirdのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.9
ドイツの名匠ビム・ベンダースが、役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレ清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いたドラマ。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所が日本人俳優としては“誰も知らない” の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞した。
東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山。淡々とした同じ毎日を繰り返しているようにみえるが、彼にとって日々は常に新鮮な小さな喜びに満ちている。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読むことが楽しみであり、人生は風に揺れる木のようでもあった。そして木が好きな平山は、いつも小さなフィルムカメラを持ち歩き、自身を重ねるかのように木々の写真を撮っていた。そんなある日、思いがけない再会を果たしたことをきっかけに、彼の過去に少しずつ光が当たっていく…。

“日々是好日”を実感する作品! いつもの高速、いつもの公園、いつものトイレ。平山の毎日は、朝起きて、車で仕事場のトイレに行き清掃。風呂に入り、飲み屋で一杯やって帰宅、家で古本屋で買った文庫本を読んで就寝。その繰り返しだ。ただ、そんな単調に思える暮らしの中にも、日々“何か違うこと”があり、平山はそれを楽しんでいるように見える。毎日持ち歩いているフィルム式カメラで、木々の写真を撮っては現像。プリントした写真を見ながら、その日の“何か違うこと”を撮り貯めている。
遊びの金を無心する職場の後輩に、お金を渡してやったり、自分の娘と思しき少女から“オジサン”と呼ばれても、何も語らず。ただ、少女の良かれを思って、 温かく接している。
平山のような暮らしには恐らく馴染めないが、平山のような心持ちでいられれば、きっと満足感の大きい人生を送れるように思う。
BGMで流れるLou Reedの“Perfect Day” が心に染みた。
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