くすのき

PERFECT DAYSのくすのきのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
5.0
まるで修行僧のような平山の生活。
毎日をちゃんと生きること。SNSで目につくキラキラした生活じゃなくても、目まぐるしい変化がなくても、ちゃんと生きているだけで良いんだと、変化のない毎日が苦しかった私は平山の暮らしを見ながら感じていた。穏やかさが沁みる、良い映画だなあと思っていたところに、平山の「変化がないなんて、あってたまるか」まさかのひと言。この台詞が自分にぐさっと刺さって抜けない。思い返すと作品通して変化をずっと映し出していた。常に姿を変え続ける木漏れ日のように、変化をしていないように見えても常に姿を変えるものがあるように、変わり映えのない私の毎日だって全く同じ日は存在していない。自然や他人から影響を受けて、そして影響を与えて、これまでも生きてきたしこれからもそうやって生きていく。すごく根本的な部分に気づかせてくれた作品だった。
そして、ラストの役所さんの表情。涙が堪えきれなかった。師走の忙しない日々の合間に素敵な作品に出会えて良かった。