たこ

PERFECT DAYSのたこのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
あー、本当に好きだ。スクリーンでみれてよかった。
劇場を出て歩きながら「完璧な日々」についてずっと考えてしまった。朝起きて水をやり、好きな音楽とともに仕事へ向かう。好きな木漏れ日の下で昼を過ごして夜は馴染みの店で酒を飲み、好きな本を読んで寝る。休みになれば、好きなことに時間を使って、行きつけの店で人と喋る。好きなものがちゃんとあって、色んな場所に居場所もある。たしかに完璧かもしれない。同じようにみえても同じ1日、同じ瞬間は二度なくて、今度は今度で今は今。日々の小さな幸せをちゃんと拾って良い日だったとその日を終える。私もこうなりたい。
でも、他人と関わると幸も不幸もあって。穏やかな日々で蓋をしていたものが溢れちゃう。ニコちゃんを帰してからの平山の乱された日常が苦しい。休みなのに好きなことやる気力がなくなるの悲しすぎる。そういうときもある。
悪い日は続くわけじゃなくてまた穏やかな日常に戻るけど、溢れてしまったものはしばらく居座り続けるかもしれない。そんなことを思いながらラストシーンでボロボロ泣いた。変わらないものは無いから、特別良い日も悪い日もあって、それを含めて完璧な日々なのか。木が成長するように緩やかに、時に劇的に変わりゆく日々を1日ずつ生きていくこと?

言葉を交わさなくても日常の一部を共有している人たちが居るの良いな。ニコちゃんを連れてるときの銭湯常連の反応とか。あまり喋らないけど表情は豊かな役所広司、好き。でもやっぱラストの言語化出来ない表情の変化のワンカットが圧巻。これをみんなスクリーンでみてほしいよ。エンドロールの音楽も余韻最高だった。

車のドアが開く時のライトで顔が赤くなる演出、良すぎる。ちょい役で出てくる人がみんなワクワクするんだけど、下北の店員が松居大悟だったのにちょっとビックリしすぎてエンドロールで名前見るまで疑ってしまった。嬉しい!霧吹き水やりルーティンで照生〜…と思ってたから余計に。
ここのトイレ知ってるぞ!となるの楽しい。にしても東京の公園のトイレは個性凄いな。
途中で挟まる不穏モノクロの意図がわからなかったよ〜……。
家の鍵を閉める描写はなくて、ニコちゃんが帰るときだけ鍵を開けるのは平山の過去が垣間見えるから的な暗喩?
たこ

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