糖質亭砂糖金平

落下の解剖学の糖質亭砂糖金平のレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.4
息子が父に駆け寄る冒頭、うっすらと謎のパソコンズームがあり、ああコレはズームが特別な表現をする映画なんだと悟る。そんでもって息子が父を殺した犯人なんだと。

すべてはあの脈絡のない謎のズームのせいだ。

その後、物語は母を中心に夫婦生活の話になり、予想とは全く違う展開になる。なんのことはない、冒頭のそれは画面をトリミングする為の雑なズームだったのである。特別な意味があると思ってズームがあるシーンを数えていたけれどなんの意味もなかった。

あとは犬。スヌープと名付けられた賢い犬に犬派の自分は良さを感じられなかった。画面にピタリとハマるパズルのピースの様な動きで、無邪気さを殺したさまは犬の良さを感じられなかった。流行りのAIと同じ。無駄がなさすぎる。嫌だ嫌だ。

ある構図に対する異常な執着(しかしそこに美意識は感じられない)の割に、その処理はすべて後処理のパソコン。すべて悪いとは言わないが、現場を信じていない無表情な監督の顔が見える。