被害者遺族という側面をすっ飛ばして、妻=被疑者/息子=証人という側面のみにフォーカスしたり、判決の争点になるべき凶器の有無を有耶無耶にしたりと、ポストトゥルースな世相を表しての、敢えての描かない部分をつくる力業は引力あるものの、不自然で粗だらけのプロットの法廷劇。
「あぁ、やったんだろうなぁ」の直後に「あれ、やってないのか」を持ってきたりの決定的な描写の両使いはモヤる。
それでも、暴かれたくないだろうプライバシーを晒されて針のムシロな様だったり、
『ブルーバレンタイン』や『マリッジストーリー』顔負けの夫婦の口論シーンの痛ましくてヒリヒリするリアリティは白眉。粗だらけにも関わらずそれを意識させずに逆手にとるような描写のテクニックが上手くて、長い割にしっかりおもしろい。山荘のロケーションも良き。