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関心領域のmroのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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悪の凡庸さというよりも塀の向こうで何が起きているのか知っていながら平然と暮らす人間たち(尚且つ今享受している利益等を前提に今後の人生設計をしている)のグロテスクさはよく映し出されている、彼らは本質的には途上国の就労環境を知りながらファストファッションなどの恩恵を享受している先進国の人々と変わりない

でも映画を通じて言いたいことはともかくとして、20〜30分くらいの短い時間でスパッと切った方が良かった気がする…スリラーとしての消費に留めないためなのかもしれないけど
塀の向こうはなんだろな、がキモなのに早々に分かってしまうと本編の間ずっと塀の向こうにばっかり注意が向かう、細部までじっくり見るためにもう何回か鑑賞する必要があるのかもしれない

ヘートヴィヒ・ヘスの母は当時の一般的なドイツ国民の表象で、ユダヤ人や反体制派たちが収容所送りになったということしか知らなくて財産没収に乗っかれてラッキーくらいの感覚で、まさか無惨に殺されているとは思わずあまりの罪の重さに耐えかねて何も言わずに出て行ったということなのだろうか
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