R20

関心領域のR20のレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
4.5
公開初日に見て参りました
評判通りの傑作!物語の舞台は遥か昔、ナチスが猛威を奮っていた時代ですが映画館で今、この時代にこそ見るべき作品なのだなと思いました

アウシュビッツ収容所の壁を隔てた向かい側に住む所長家族、毎日何不便なく平穏な毎日を送っています。しかし中庭に聳えたつ大きな壁の向こう側では毎日大量のユダヤ人や反ナチス思想を持った人たちが収容され次々と焼却炉で殺されていく。。
「シンドラーのリスト」などナチスや彼らによる大量虐殺、そしてヒトラーのことを扱った映画ではこのような人たちは悪役として描かれてきましたが今作では極力そのようなポジションには置かず傍観者である我々と同じ極々普通の家族として投影している、さらにカメラワークもほとんど定点カメラで撮影されており音響やサントラも相まり、物語を効果的に彩っていました。

鑑賞後、自分自身の「無関心領域」も抉られているような不快な気持ちを味わうと同時に都合のいいことばかりに執着しないで、思わず目を背けてしまうような事柄にも真摯に向き合っていかなければなという使命感に駆られました。今まで体験したことのない貴重な映画体験だったと思います。
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