アベ二ティKazumaAbe

仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインドのアベ二ティKazumaAbeのレビュー・感想・評価

1.9
最後、「やっぱ俺はこれだぜ!!」とお馴染みの姿で戦う乾巧を観られただけ、劇場に駆けつけた価値はあったと思った。
が、しかし。


『仮面ライダーファイズ』は、思えばすれ違いと愛憎の物語だった。

特撮作品『仮面ライダーファイズ』は、敵・味方陣営共にひょんなことからいがみあい、キャラクター達がプライドを賭けて火花を散らし続け、主義主張や目的の違いから衝突を絶やさないシリーズである。"玩具メーカーのプロモーション"というフォーマットを意識してか、常に戦いを内包した
放送を続けることが必須だった為にこのような作劇が選択されていた〜と思うが、そこにある激しい人間描写にはなぜか一定の説得力があり、見飽きることのない魅力に支えられている作品である。

個人的には、男児向けドラマコンテンツという枠故か、男女間でのあれこれが露骨に描写されていなかったのが"粋"だと感じていた。
特に主人公とヒロインの擬似恋愛に踏み込まない関係性はなかなか魅力的に映り、なんだか「男女間の友情の成立」を見るようでもあり…放送当時はとても大人だな!と、子ども心に嬉しく思ったものだ。子どもは子ども扱いされない風の演出に弱い。

本作には、上記の「俺が好きだったファイズ」の要素が霧散しているように感じた。いわゆる"公式と解釈違い"の部類であった。
でも、放送当時の盤石の布陣で送られるのがこれなので、そっか、製作陣の意向がこれなら仕方ないかと思ったりもしたが、かといって映像的に見ても、シナリオ的に見ても美点が少ないのはキツい。特に画的なオモシロや"衝撃の展開"をやるためだけの設定の数々は子どもだましみたいで腹立たしく思った。ぶっちゃけオーズ完結編を観た時より暗い気持ちでいる。