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グランツーリスモのkenのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.5
2023年劇場鑑賞44作目

人の意見は聞くものだなと改めて。
ゲームのグランツーリスモは未プレイだし、車は全然詳しくない。街中で車を見かけても、それがどこのメーカーの、なんという車種なのか、てんでわからない。なので興味が湧かず正直観るつもりはなかった。
ただFilmarksのタイムラインに流れてくるレビューを読んでいるうちに、どうやらこれば好物だぞと気づいた。

映画の序盤で知識不足の思い込みを解消された。まずグランツーリスモは"ゲーム"ではなく"車のシュミレーター"としての側面が大きい。また車好きの映画ではなく、夢を叶える物語。シチュエーションは違えど、好きな映画に共通するこの方向性に気づいてから、ワクワクが止まらなかった。

👑一番好きなシーン
GTアカデミーの代表者を決めるレースにて。スポンサーを務める日産の顔を伺いながら、誰を優勝者にするのかを操作するオーランド・ブルーム。そんな彼にレースとは、を諭すデヴィッド・ハーバーが演じるジャック。それでも強行するオーランド...
でも次のシーンでは何事もなかったかのようにオーランドや日産幹部が優勝者を称える。
この間にジャックがどんな行動をとったのか、どんな言葉を浴びせたのか、映像にはない。(オーランドの目の周りにあざができていたりしたらわかりやすいが)敢えて想像させるシーンだと思う。実力で選ばれるべきだと、努力した人が正しく報われるようにと、レースの勝者のために不正を許さない姿勢。彼が裏でどんな行動をとってくれたのかを想像するだけで泣けてくる個人的に今作で一二を争う好きなシーン。

ここからというものの、主人公ヤンの実力を認め、ジャックがヤンにとって誰よりも心強い味方になっていくのがたまらない。
ヤンが苦境に立たされる度、大丈夫だと、俺がついていると、今まで観てきた、聴いてきた誰よりも暖かくて、"寄り添う"だけでなくしっかりと"一緒になって"くれるのを観てアツくなった。こんな最高なシーンが劇中何度もありその度に呼吸が荒くなった。
かつてジャック自身もレーサーとして活躍したこと、そして夢破れたことも明かされる。あなたの夢は僕が叶える。テーマは師弟愛、絆。

こんな人生におけるメンターに出会えたら最高だろうな。羨ましくもあり、自分も心の師を見つけられた感覚があり嬉しかった。

実話にしてはできすぎ(?)かもしれないし、ゲーマーがプロレーサーになるなんて面白い題材だからそれをベースに娯楽として楽しめるように大幅な脚色があったのかもしれない。例えそうでも本作はそれでもいいじゃんと思わせてくれるくらい好きな気持ちが上回っていた。

個人的にはデヴィッド・ハーバーとジャイモン・フンスーという二人のパパがいるのもテンション上がるポイントで、マン・オブ・スティールを少し思い出したりもして。

エセ日本人が出てこないのも嬉しいし、都内を走る車の中でオーランド・ブルームがお着替えしてるとか妄想したら...それはもうすごいこと。
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