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瞳をとじてのMrNOのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.0
試写会にて

劇中映画「別れのまなざし」で始まり終わる。
映画愛に溢れた作品。

「別れのまなざし」「瞳をとじて」の内容が重なるように進んでいく。
「別れの」は死期が迫った富豪が、別れ別れになった娘を探してくれ、と男に頼む。
その男役のフリオがこの映画撮影中に失踪する。20年後に当時の監督のミゲルが語り部となって、フリオを探す物語。
さらに
20年前の自作の映画と向き合うミゲル元監督と、31年振りの作品のエリセ監督。
20年前の「別れの」では少女だった娘と、
失踪した男の娘役は、85年に同じエリセ監督の「ミツバチのささやき」で天使のような子供(当時5歳)を演じた、アナ・トレント(今は57歳)

劇中映画とこの作品、この作品を作った現実が重層的に進行し、ラストシーンでは見事に結実する。

劇中、映画フィルムを管理してるマックスが、「カール・テオドア・ドライヤー以降は映画から魔法はなくなった」的なセリフ言うんだけれど、ラストシーンでは映画という魔法がかけられます。

印象に残る小道具たち
ウイスキー、煙草、マッチ、船、タンゴ、
チェスのキングの駒♟️〜劇中映画の舞台は「悲しき王」という名の屋敷。
そして靴
フリオが失踪したときに海辺に残された靴。ある場所で見つかったフリオは靴を履いていない、が、あるきっかけから靴を履いている

補足
前半暗い場面で、会話中心に進んでいくから正直眠くなるけど、
ミゲルが海沿いの家(トレーラーハウス)に帰るところから、スペインの陽光に溢れ、映画も希望に満ちてくる。
家庭菜園でトマトを世話してるあたりは「マルメロの陽光」を思い出しました。
〜マルメロの木を描く画家を、延々と写した作品だけど何故か心に残る映画。

久しぶりに、ミツバチのささやき、を見返しました
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