ヒラツカ

瞳をとじてのヒラツカのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
2.4
ビクトル・エリセ、特別なスタイルがあるわけでもなく、うーん、正直、なぜ映画界において重要な存在なのか、よくわからんかったな。「ミニシアター系」(この言い方あんまり好きじゃないが)の最たるもの、っていう勝手なイメージで、つまりは、ハリウッド外で作られた制作費が少なめな具象劇で、言葉少なに隠喩を多様する感じ?そういうのを積極的に嫌いなわけではないんだけれど、その態度であればせめて100分くらいにおさめてほしいところだが、今回の3時間はさすがに長かったな。それぞれのシーンが、ひとつひとつページをめくっていくように独立しており、先へ進みたいドライブ感が無かった。それがスタイルであり、いいよね、ってことなのかな。細田守や岩井俊二が予告編で絶賛してるんだけど、「ほんとか?」って思っちゃった。岩井俊二は、『ミツバチのささやき』の頃のアナ・トレントとか、本作でも作中作の映画に出てくる美しい幼年の役者がいたが、そういうイノセントな存在がとにかく好きなんじゃねえの、たぶん。
エリセは83歳。ちょうど昨年、80代であるリドリー・スコットやマーティン・スコセッシ、ポール・バーホーベンからデヴィッド・クローネンバーグ、ダリオ・アルジェントなどなど、おじいさん監督たちの新作が続々と公開されたが(70後半のスティーヴン・スピルバーグや北野武もしかり)、いずれもその寄る年波を感じさせない「そうか、そうだよね」というところがあったんだが、今回は残念ながらちょっとわかりませんでした。