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湖の女たちのBremingerのレビュー・感想・評価

湖の女たち(2023年製作の映画)
1.7
ミニシアターとシネコンが同時にやるタイプの作品で、その場合ミニシアターにお客入らないんじゃない?と思ったらどの時間もガラガラで、木曜の夕方とはいえ横の列に誰もいないのは快適なんですが、少し寂しいような…。
そんな気持ちで観始めましたが、あーこれは人入らんわってくらいの出来で、難しいというか映画が全くコントロールできてないというか…。

刑事たちの操作が令和、というか平成でもないくらい脳筋・暴言・暴力・脅迫の連鎖で観ていて気持ちいいものではありませんが、それに対する説得力とかも全く無いのが面白さに繋がらなかったなと思いました。
その後のストーカーまがいの付き纏いに、これ見よがしに警察手帳を見せたり、疑いの人物の家に押し入ろうとしたりと、しっかり犯罪者の行動をしているので、豊田さっさと通報してしまえばいいのに思いましたが、豊田は豊田の性癖が爆発してしまって…。

濱中と豊田が車内でプレイをする様子はもう趣味の悪いPornhub動画のソレで、しっかり動画撮影中に自己紹介までさせちゃって、これはコメディとして楽しんだ方がもういいのか?と思ってしまったくらいです。
ただ今作PG12もR指定も何もついてない全年齢対象なので、過度な濡れ場は全くないのにそれっぽいシーンはふんだんに盛り込まれているというアンバランスさには頭を抱えてしまいました。

途中からは記者が薬害事件について調べるパートがあるんですが、むしろこっちメインの方が面白くなりそうなのに、だいぶ中途半端に時系列を行ったり来たりするので、こちらのパートも面白くはなりませんでした。
薬害事件だけならまだしも、731の軍隊の話が乱入してきて脳がショートしました。あれ?この映画介護施設の事件から始まったよね?と。
正直、軍隊の話はその当時に差別的な行動が行われていて、それを扇動した人物が偉い立場に着きそうになってるってだけで、今作の主題からは相当遠くのものだったので、果たして描く必要はあったのかと疑問に思いました。

記者も記者で、上司の雑というか自分のない意見にも腹が立ちましたが、池田の少しだけきっかけ掴んだら、速攻で犯人候補に詰め寄るという考えの浅はかさにこれまた腹立ちました。そいでもって犯人候補の子がニヤッとした時にニヤッとすんな!と心の中で言ったら、斜めのおじさんが笑うな!と思いっきり口に出ていて笑ってしまいました。

731と薬害とやっていたら、今度は濱中と豊田の船上SMプレイが始まってさらに困惑しました。もうこのシーンは惰性で観ていました。

ほいでもって物語が締めくくられそうになっているのに、何一つ解決しないままエンドロールに突入してしまってこれまた困惑してしまいました。
吸引機を抜いた犯人は多分中学生グループなんだろうけど、それは凄いあやふやだし、刑事たちは告訴されたとはいえまだのうのうとしてるし、薬害事件の犯人の話とか戦争の話とかは触れただけで終わってしまっていたりと、なんじゃこりゃ?としか感想が出てきませんでした。

役者陣の演技もなんだかバランスがよくは思えず、福士くんは10年前のキラキラ映画の頃(壁ドン・頭ポン・キス)と近い行動をしているのに、今作だとどれも怖く見えるのは面白かったです。
松本まりかさんの色気は今作でも発揮されていて、体当たりの演技を任せるとこの人本当にエグいものを見せてくれるなぁってなりました。
浅野さんは…関西弁が混じってるとはいえど、何を喋ってるのか本当に分からない場面が多くて、これが意図したものなのか、それともシンプルにあまりよろしくない演技なのか…ちょっと引っかかるところでした。
福地さんは全体的に良かったんですが、真犯人を突き止めた時に謎に横に揺れまくっていたのが気になってしまいました。

あと音楽の使い方が下手だなと思いました。なんかシーンとシーンの繋ぎ目に困ってしまったのかギーンと音楽を鳴らす演出を連発していて、その度に座席からズッコケそうになりました。

んー期待はしていませんでしたが、ここまで面白いところがないのはいっそ清々しいかなと思いました。
多分年間通してもワーストクラスの作品です。
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