丽遥

哀れなるものたちの丽遥のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.5
ハア、ねえ20年代フェミニズム映画これでいいんですか…バービーに引き続きラストはやはり男女逆転版家父長制に過ぎなかった。なぜ、構造が根本的な問題だと主張しないのか。わたしは女が男に(それも野蛮だとされる偏見にまみれた男)なる過程を見たいのではない。

あと、ベラは賢くなって行く割には他者の気持ちを慮る能力が欠けているね…ベラは傷ついた自分を慰めてという割に、周囲の男性が自分のせいで傷ついても特に言及せず、離れていく。結婚前に他の男と関係を持つのは嫌だというのに、夫となる男の納得も得ず行動に移してしまう。新たな家父長制の始まりだよマジで。あとダンカンが1文無しになったのはお前のせいですよね、窃盗罪ですよね、、と思いながら観てた。盗んで、かつ世話してもらった分の金は返せよという😇あとどんどん知的になっていただくのはいいとして、自分より学のない人の前で難しい単語を使ったりするのも配慮にかけるんじゃないのかな。

医学というもっとも男性的(ジェンダーとしての)と言っていいモチーフを取り入れたのもすごかったな、、当然ピュグマリオズムとか医学(男性医師)の特権性などが描かれていくわけだけど、不思議とそのことに対する問題提起が見当たらなかったのもすごかったな、、まずベラ、自分の体が勝手に操作されたことに対する怒りはないのか?クリトリス切除と脳移植って同じくらい人間としての尊厳を踏みにじられてると思うのだが、、お前の体はお前のもんや🥺
そしてその医学を自分も志すぞという意志はやはり男性化に繋がっていくんだと思うんだよなあ、ここまで特権化されて医学が描かれてると。例えばベラの父はそのまた父による人体実験の材料にされたから、常に医療機器がそばにないと生きていられないし、ベラもゴッドによる人体実験がなければ生きていられなかったし。生きながらえたあとも観察対象となってるし。生殺与奪を握ってんだよなあ医学って。特にバグった倫理感と共に医学が描かれている世界観のなかで医師を志そうとするベラを描くことはかなり危険だったと思う。ベラも生殺与奪を握る権力者になる未来が暗示されているということだから。その証拠に、この映画ではベラの代替としてもう1人の脳を移植された(?)女性が、鶏の胴体に頭をくっつけられた(?)元夫がなんの問題提起もなく存在してしまう。その画面の中央でワイン片手に本を読みながら微笑むベラのラストシーンはマジでそんなんでいいわけないだろ😂😂と思った。フェミニズムが目指したかったのは女性が家長になることなん??
このシーンは夫と娼婦友達が召使いのようにそばに控えてるのもすごく問題だと思う。フェミニズム映画がハッピーエンドになるためには男性を去勢させなければならないのか?娼婦友達が黒人だから白人の召使いよりも小さく映っているのかという。

見た目は変わらないのにどんどん知的になっていくベラを演じ分けたエマ・ストーンの演技力はすごかったと思うし、ディズニーランドみたいな美術も凝ってるなとは思った。魚眼レンズが動くとこんなにキモいんだなっていう。歪んだ世界の表象として面白かった。ベラが外の世界に行った瞬間画面が色づくのもベラの経験が広がる様子がダイナミックに映されていたと思う。逆にピンホールレンズはベラの世界を狭めるようなシーンに使われていたような。

エマ・ストーンの歩き方はなんだったのか?太ってる人の歩き方に似てるな~と思ったのでまだ出産してから日が浅いということなのか?おしとやかじゃない歩き方をやってみたのか(めちゃ膨らんだパフスリーブはまあ男性性のアピールかな)?ベラの身代わりの歩き方は別に普通だったので、、
あと、時折人物の顔を中心として波紋のような質感で背景が映されていたのはなんなのか?その人物の発言は異常ですよ~異常脳波出てますよ~ということなのか?(そんなわけは無い)
丽遥

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