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フレーミングホット!チートス物語のRのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2023年のアメリカの作品。

監督は女優のエヴァ・ロンゴリア。

あらすじ

1950年代後半、メキシコ系アメリカ人の両親のもと、ロサンゼルスで育ったリチャード・モンタニェス(ジェシー・ガルシア「ザ ・マザー:母という名の暗殺者」)は地元のスナック会社フリトレーの工場で清掃員の職に就く。働いていく中で、段々とスナックの需要が減っていき、同僚たちがリストラしていくのをなんとかしようと考えたモンタニェスは自分の周囲に「辛い味」が好む傾向があることに気付き、激辛味のスナックを出すことを思いつく。

ディズニープラスにて、無作為に選んだ中から。

お話はあらすじの通り、実際の人物を描いている作品なんだけど、なんと今作では、あのスナック菓子「チートス」を作った人のお話。

「チートス」と言えば、俺事実とんと最近は食べることは無くなっちゃったけど、まぁ、やっぱあのちっちゃいかりんとうみたいなサクサクスナックに味濃ゆいパウダーがついてる感じがまさにスナックって感じで旨いよなぁ。まぁ、ただ食ったあと粉で手がベタベタになるけど、それもまた旨し!

ただ、今作「チートス」はもう既にあるんだけど、その中で周囲が「辛い味が好き」ということに着想を得たモンタニェスが「激辛チーズ味」のチートスを開発するに至るまで、つまり現在のお菓子の「辛いものブーム」の火付け役となった人のお話になっている。

つか、そもそもチートスに激辛の味のイメージってあんまりないんだけど、この人のおかげでカラムーチョとかできたってことなんかな?だとしたら、もうそれだけで偉大!!

で、この人始めっからチートス開発に関わっていたわけではなくて、清掃員からスタート。

ただ、このモンタニェス、メキシコ系のお国柄なのか、いい意味で好奇心旺盛、悪い意味で馴れ馴れしい感じが始めっからあって、清掃員なのに普通に工場責任者とかに話しかける。だからめっちゃウザがられたり、同僚からも「あいつらとは関わるな、住む世界が違う」と釘を刺されたりするんだけど、それでもめげないで、フレンドリーに接するハートの強さがまず、すごい。

ただ、このまま清掃員として働いても、現状維持で十把一からげならば、少しでも上の人に覚えてもらって関係性を築くことで「チャンス」を掴めるわけで。「なるべく悪目立ちしないように」と立ち振る舞う我々日本人にとっては見習うべきなのかもしれない。

で、そんな感じでコミュ力全開で上に絡みまくる中で中間管理職のクラレンス(デニス・ヘイスバード「山猫は眠らない10 レディ・デスの奪還」)と出会う。

それまでの社員とは異なり、この人は下っ端から地道に這い上がった努力の人ということだけあり、モンタニェスとも馬が合う。そのクラレンスを含めて、なんだかんだ人懐っこいモンタニェスの周りには仲間たちが集まり始め…というところも和気藹々としていてなんか微笑ましい。

ただ、そんな感じで働いているとどうやら会社が傾きつつあるらしく、不況の煽りを受けて、仲間たちもリストラ…こりゃなんとかせねば!と行き着いたのが「激辛味」。

もうこちらが観ているだけで「辛っ!!」となりそうな香辛料や唐辛子を混ぜ合わせて遂にできた「マグナムオプス(最高傑作)」激辛チートスは俺らが普段見ているのよりも真っ赤っかで見た目からしてそれまでのものとは異なるというのが一目でわかるのも凄い。

で、ここで凄いのがこのモンタニェス、いきなり社長のロジャー(トニー・シャルーブ「ジャコメッティ 最後の肖像」)に電話かけちゃう、その行動力よ!!

で、社長もバイタリティがあるので、その行動力が買われて、めでたく商品化はしたまでは良かったんだけど、宣伝部がケチって宣伝してなかったので初めは全然売れない。

そこでモンタニェスが生かしたのが地元力!!それまでの仲間だけでなく、なんと地元ギャングまで借り出して(つか、よく協力してくれたな笑)、道ゆく人という人に激辛チートスをポイポイ上げちゃう!

すげぇいかちースキンヘッドのギャングが子どもにチートスあげてるのとか、なんか見てて良いな!

そんで、味は折り紙付きなもんだからたちまち売れて、遂に激辛チートスによって会社も売れ線に乗ることができたんだけど、いやぁ、地元パワーすげぇ!!

ラスト、功労者のモンタニェスが昇進を期待しながら、清掃作業をしていると…のサプライズのオチもなんつーか、社長から嫌味な上司含めてみんな粋だなぁ…とぐっとくるんだけど、感動的なのはラスト。

清掃員から、その「アイデア」と「バイタリティ」、「セールス力」、そして愛する奥さんジュディー(アニー・ゴンザレス)の献身的な姿勢と祈りによって、モンタニェスは幹部クラスにまで昇り詰めるんだけど、そんな偉くなっても、訪れたレストランでウェイターや車係に自分の名刺を渡すことを忘れない。

「この世に「ただの清掃員」はいない。誰もが自分で運命を作っている」と最後にモンタニェスは言う。だからこそ、偉くなってもなお、クラレンスが、社長が、モンタニェスにチャンスを与えたように、どんな人にも等しくそのきっかけを与えようとするモンタニェスの姿勢は経営者として圧倒的に正しいし、そして何より尊敬できる。

いやぁ、あのスナック誕生の裏にはこんな功労者がいたんだなぁと思うと普通に面白かったし、何より観て良かったです。
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