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見えざる手のある風景のyzのレビュー・感想・評価

見えざる手のある風景(2023年製作の映画)
4.5
面白い。ありきたりな面もあるが、ある側面においては、結構良く出来ているのではないかと思う。シンプルに見入らされたし特にオチは鋭くて良いものだった。宇宙人のビジュアルと言語は見た事がなく魅力的だ。武力による侵攻じゃなくてこういうモデルなのも良い。

端的に言うなら「アート・ショーアップと資本主義の話」なのだろう。
ディストピア像としては普遍的だが、一部近代国家の植民地主義についてと現代の「観光」の問題としての訪れる側の搾取性、エキゾチックやオリエンタリズムについてを想起する。学校のくだりで登場するのが文学の授業だったのも意図が明らかだろう。そしてここで繋がるのが、ふたりが行う配信だ。上の者たちが欲するものを提供する形で生活を変えようとする。しかし日常の多くの時間を支配されて疲弊するし一方的なルールも押し付けられる。

オープニングからたびたび挟まれる彼の描いた絵は世界の変遷を見せるものであり、大作にたどり着く前のフリとしても腑に落ちる。あの大作には一縷の希望を感じたが、表現(アート・ショーアップ)を利用して生活を変えようとする・対抗する過程を見せた後にその無力さを見せつけるラストで見事だった。
終盤のくだりではアーティストが政府等と仕事をする時の問題なんかも思い浮かぶ。
 
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