エリザベスまたはエリザベート

ラ・メゾン 小説家と娼婦のエリザベスまたはエリザベートのレビュー・感想・評価

ラ・メゾン 小説家と娼婦(2022年製作の映画)
3.9
観る前にレビューを見たら、

エロいかエロくないか
何言ってんのかよくわからない映画だった
何のために作ったのかよくわからない映画
何を伝えたいのかわからない
面白くないつまらなかった

という意見ばかり。


私は観に行ってよかったと思う。確かに劇場はエロを観たくて来てる雰囲気のおじさんばかりでした。(帰りに話しかけられそうだなと思いつつ、そういう目には遭わなくてほっとしながら帰りました。笑)
エロい!美しい!綺麗!なものを観たい人には不向きな映画です。
それならラマンとかドヌーヴの昼顔とかの方がいいのではないかと。

世の中は、経験したことある人と経験したことない人とで分断されている。大きな差が生まれる。

経験した人にしかわからないって本当にこういうことなんだな、とつくづく思った。
経験したことがない人にいくら言葉で説明しても伝わらない。


「問題なのは、世間の娼婦に対する同情心」
「好きでこの仕事をやってんの!
みんな好きでこの仕事をやってる!
男を従わせてる感じが好きなの!
自分に合っているの!」
「私は取材する対象を間違えた」

この映画の作者が伝えたいことはこれだと思う。

伝えたいこと言ってるのに、誰もレビューでこれについて話してない。要するに伝わってない。言われてもピンとこない。え?どういうこと?みんなぽかーんって感じなんでしょうね。


ラストの終わり方の感じからすると、この主人公は自分の性に合う仕事を見つけて、このままこの仕事を続けて行くんだろうなぁ…という終わり方でしたが(少なくとも私はそう感じた)、
あえてそれをはっきりと示さないのは、「売春婦に堕ちた」という印象を与えなくない、そう思われたくないからでしょう。

堕ちた、のではなく、選んだ、なった、だけなのですから。