〜300万人を死なせた英雄の愛と挫折〜
一代の英雄、ナポレオン・ボナパルトの半生を描く歴史巨編！と思いきや、実は妻ジョセフィーヌを愛し囚われた小心な男の個人史的な色合いが強い作品でした。
フランス革命後の混乱の中で武功を重ね、ついに皇帝にまで上りつめたナポレオン。
彼は美貌の未亡人であるジョセフィーヌを見そめ妻とし一途に愛するが、奔放なジョセフィーヌは浮気を重ねます。
一度は怒りのあまり、彼女を追い出す気になったナポレオンだったが、彼女への依存心に気づかされ思いとどまります。一方で徐々にナポレオンを愛すようになった彼女でしたが、なかなか子宝に恵まれずやむなく離婚することになります。
その後二人は「友人」として、主に手紙のやりとりで交友を続け、それはナポレオンがロシアの大地で大敗し、失脚した後も続きます。
数年後、再び政権を奪い返しパリに戻ったナポレオンは、ジョセフィーヌの元を訪ねますが、既に彼女は病死しています。
悲嘆に暮れるナポレオンは、英国ほかの連合国軍との一大決戦に臨むのでした。
と、このようなあらすじです。
戦争シーンが、話題になっていますが、確かに見応え十分！
CGに頼らず膨大なエキストラと金をかけただけの迫力がありました。
しかし人間ドラマとしては、掘り下げ不足でした。
ナポレオンのマザコン気質が、ジョセフィーヌへの依存に転換していくあたりの描写が弱い。
ジョセフィーヌ演じるヴァネッサ・カービーは確かに魅力的😍で、妖艶で無邪気なファムファタールの雰囲気はよく出ていましたが、彼女もまた前夫を革命で失い、生きるために自らの美貌を武器に生き抜いてきた過酷な過去を持っているはず。
そんな彼女の屈折した感情が、ナポレオンとの生活でどう変わってきたのか？もう少し掘り下げて欲しかった😓
そもそもナポレオンは、悪魔的なほどのカリスマ性を持っていたはずですが、そこも今ひとつ感じられませんでした。つまり、「表の」ナポレオン伝としての奥行きもないのです。
ストーリーが、ナポレオンとジョセフィーヌに集中されすぎ、他の登場人物に全く印象的な者がいないことも奥行きを感じさせない要因かもしれません。
