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ママと娼婦 4Kデジタルリマスター版のをとのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

映画が移行していくものを捉えるものだとしたら「ママと娼婦」はそれがあまりにも乏しい。(これ自体は全く批判ではない)

劇中でも触れられるムルナウの映画と比較するとわかりやすい。ムルナウの「サンライズ」は田舎から街へ、妻から愛人へ、殺人から愛へ、そして美しい夜明けへと移行していく。これが映画の在るべき姿である。
「サンライズ」は登場人物は歩き、背景や時間は移行し、シーンは移り変わり感情も時間も変遷しゆく様がそのまま映画になっている。

「ママと娼婦」はそれに相反するように、常に変わらないロケーションと、最小の登場人物と、動線とポジションで画面内の変化が驚くほどにない。
だからこそ、登場人物たちに内在する愛についてのことが言葉を通して厳かに伝わる。
個々が個々であり、配置され、それが流動となり画面を構成していく。
二人の女性さえいれば、映画はつくれる(移行しゆく様)ことは当たり前にできることだと言われている気分になる映画だった。
そしてそれだけでおもしろい。
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