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ぼくの小さな恋人たち 4Kデジタルリマスター版のo219028tのレビュー・感想・評価

5.0
ここにはユスターシュが明らかにした映画的真実「観察」と「模倣」がある。この映画の主人公(若き日のユスターシュ)は話すことよりも見ることを選択するが、ただの観察者に留まっている訳ではない。彼は観察者であると同時に模倣者である。これは模倣的反復者として出発したゴダールとユスターシュが同じ方向を共有していたことの証左でもあるが、映画を見ること(観察)と作ること(模倣)に連なる問題に帰着する。今日、映画的記憶を欠いた映画は存在し得ない。選択する身振りは全て記憶(観察した結果として生じるもの)に統御されているのだから、選択とは寧ろ徹底して不自由なものだろう。あらゆる映画的な身振りは、意識的であると無意識的であるとに関わらず、模倣的な反復しか演ずることは出来ない。確かな映画的記憶を誇ること。この確固たる映画的真実の相貌が「ぼくの小さな恋人たち」である。
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