鹿

身代わり忠臣蔵の鹿のネタバレレビュー・内容・結末

身代わり忠臣蔵(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

私は歴史に疎い!
しかし、今さら「忠臣蔵」を題材に、どうするのか?と、そんな私でも思うほどさんざん映像化されていることくらいは知っている。予告で見て、こんな感じかな?って思っていたことが、前半はその通りに展開していくが……いや、うまいな。これは考証とか解釈とか新事実なんてことではない、「娯楽作品」としてよくまとまっている。身代わりの吉良がどんどん成長し過ぎているが、ちゃんと「人情コメディ」ですよ、という範囲におさまっている。本物の吉良の方はどんな目にあわされても自業自得で観客が納得できるように描かれているが、ずっと側についていた林遣都がそれなりに敬意を払っているところを見せるので(まぁそれは話の運び上必要なことでもあるが)、まとまりとしてのバランスが良い。
ヘタをすると、ワンアイデアだけで終わりかねないところを、悲劇的な歴史上の出来事にそれを用いて「歴史人情コメディ」として通し、その舞台で真面目に悲痛さを滲ませている人物を滑稽に見せてしまう。攻めた(?)表現もあるにはあるが、厭な気分になることもない。
…………別に歴史に残る名作をつくるわけでもないし、大ヒットを飛ばして社会現象を巻き起こすつもりもない。「笑って泣ける、歴史人情コメディ」を作ろうとして、その通りに仕上がった作品なんだから、これでいいのだ!
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