失踪した「市子」を探す過程で、謎に包まれていた彼女の過去が紐解かれていく。
本作は「舞台の映画化」であることを前提に鑑賞すべきで、だからこそ舞台では表現し得ない、広角でない画角や動きのあるカメラワークが特別な意味を成している。
市子の人生が第三者目線で羅生門ライクに描写されていく。
つまり見せられているのは各人目線の市子であって、表情や仕草、口調はそれぞれ全く別人とも取れてしまう。
ラストの安定した2ショットから市子の真意が垣間見えて、だからこそのラストがね。。。
市子に限らずほぼ全キャラクターの真意が意図的に読めなくなっているのも憎い。
「越えられない壁がある疑似家族」と「血は争えない家族」、「見て見ぬフリ」と「目を瞑ること」といったコントラスト表現の妙よ。
絶対的な瞬間を切り取るカメラがキーになる演出もグッド。
日本社会のバグ系映画っていいよね。
