よくある、「パートナーの失踪×何者？系」と思いつつも、ジャケットのシンプルかつ奇妙なタッチに、何かしらの奥深さを期待し鑑賞に至る。
同棲中の彼氏からプロポーズされた翌日に失踪する市子。
そこから、彼氏が市子を探す展開へと進むが、過去と現在を交錯しながら、市子の過去が少しずつ明らかに。
市子の人生、それは幼少期の抗えない不遇な家庭環境から始まる。市子としては、何とか抗い生きるための行動をとるも、それは将来逃れられない、いつかはバレるであろう結果となるが、市子はただただ幸せに向かって生きていただけであった。
こんな境遇で生まれ育ったとしても、
ケーキ屋を友達と開く夢ができたり、
人をちゃんと好きになれたり、
と過去から逃げ前向きに幸せを感じながら生きていく市子の人生に、切なさを感じずにはいられない。
市子がどう感じ、何を思い、その行動を取ったのか、
明確な意思表示はほぼなく、描写中心の構成から、観る側としては自ずと考えさせられてしまうサスペンス映画となっているため、飽きずに最後まで鑑賞できた。
市子のダークな根深さを感じさせる、杉咲花の演技力が凄い。
