MasaichiYaguchi

蠱惑の瞳のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

蠱惑の瞳(2023年製作の映画)
3.2
「失楽園」などのテレビドラマを手がけた宮崎市出身の花堂純次さんがメガホンをとった本作は、未だ世間で余り認知されていない精神障害「自己愛性パーソナリティー障害」をテーマにしている。
とはいえ、描かれているのは、どこにでもあるような普通の人々の日常で、愛を切望し、他者から承認を求める時代を映し出す意欲的な作品になっている。
本作はコロナ下で企画、撮影が進んだ低予算のインディーズ映画で、大手配給会社は関わってなく、有名な俳優陣も出演しないが、自己愛性パーソナリティー障害者でなくても、誰もが独善的で自己中心的な欲求は持っている。
ストーリーは、自己愛性パーソナリティー障害のある女性が周囲を翻弄する様を描き、一種のファム・ファタール物になっている。
映画は、彼女の背後にある過去のトラウマや苦悩、深い孤独を映し出し、我々に誰の中にもある「自己愛」を考えさせる。