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ぼくを葬る(おくる)のRingのレビュー・感想・評価

ぼくを葬る(おくる)(2005年製作の映画)
4.2
余命宣告される主人公のよくある描き方ではなく、死へ向かうまでの淡々とした描き方の中に、飾らない真の美しさを感じた。だからこそ一度だけ感情が溢れかえったように、主人公が壁に頭を何度もぶつけるシーンは、それまでが抑制された描かれ方だったからこそ、観ているこちらも胸が引き裂かれる思いだった。忘れたくない人たちや風景をいつもそっとカメラに収めながら最後まで離さず、いくつもの伝えきれない想いを胸に抱えたまま静かに息を引き取った主人公の在り様を見ていると、エンドロールの波の音とも相まって、何とも言えないものが胸に込み上げてきた。いい映画だった。オゾン監督、他の作品もまた観てみたい。
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