物語は素晴らしくとも映画としてはなんとも……ドラマチックに仕上げて観客を泣かせたかったのかなと感じました。
キナコとアンさんの出会いのシーンで嫌な予感がしたんですが、終始安っぽい演出がついて周り何度も冷めて寒気がしました。
『市子』の杉咲花さん、『はざまに生きる、春』の宮沢氷魚さんがそれぞれ記憶に新しかったため、なぜこんな演技をしているのかと疑問に思ってしまうシーンもありました。慟哭のシーンではとりあえず大きな声をと指示でもあったんでしょうか……。
一番冷めたのがキナコと主税のキスシーンで背伸びしている足もとをみせたところですかね。ふたりの関係を表すためだったとしても他のシーンで十分すぎるほど語られていますし、不要だったと思います。ラブコメじゃないですよね。
キナコと52の境遇を考えると全体的にもっと余韻を大事にするつくりにした方が没入感が得られて素晴らしい映画になったのではないでしょうか。