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ヴォルーズのプライのレビュー・感想・評価

ヴォルーズ(2023年製作の映画)
2.9
泥棒稼業を続ける女性が、相棒のスナイパーと腕利きのドライバーと共に引退任務にあたるクライム・コメディ&ドラマ。

遊びの多い台詞や演出で見せる軽妙な掛け合い。女性間で共有する愛と友情のヒューマン要素。任務の下準備から完了までをコメディとドラマといった2つのジャンルを辿る作品。と言えば響きは良いが、両方をしっかり描こうとしたことにより歪にテンションを上下させられる乗り心地の悪い仕上がりとなった。

雰囲気づくりが上手くない。冒頭数10分ほどで温度感に戸惑う。理由はコメディをする時のユーモアな雰囲気とドラマをする時のシリアスな雰囲気がガラリと変わり過ぎるから。コメディ・パートとドラマ・パートで別作品のようなテンションになっている。テンションが変わることは悪いことではないが、問題なのは雰囲気の切り替えが全くスムーズでないこと。別のシーンへ移った瞬間に雰囲気を作り替えたり、タイミングの良さを感じない時にBGMを導入したり等、強引な切り替えが目立つ。そのため、雰囲気が切り替わった際に気分をライドさせづらい。むしろ、観る側が劇中で発生してる雰囲気に気分をチューニングさせる必要が生じている。気分の急な乗り換えを要する。作品側から雰囲気をあまり誘導してくれない以上、本作の物語に気分が乗っていかない鑑賞者が一定数はいると思われる。

コメディ・パートは面白い。遊びのある台詞やケレンの効いた演出により、主要人物3人と同様のテンションとなって笑ってられる。逆にドラマ・パートはイマイチ。台詞だけで片付けられる事が多く、登場人物たちの背景が全く見えてこない。そのため、登場人物たちの心情が汲み取れない。コメディに振り切った方が楽しさを引き出せたと思う。女性3人のチームモノでクライム・コメディとなると類似作品が多いけど、まだ及第点に到達できたはず…。

P.S.メラニー・ロランは歳を重ねても可憐。顔変わらなさすぎ。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐
星の総数    :計11個
プライ

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