イチロヲ

蔵の中 和服妻みだら床/赤い長襦袢 人妻乱れ床のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
夫の戦死の報せを聞いた若妻(若宮弥咲)が、夫と瓜二つの異母兄弟(なかみつせいじ)を利用することにより、義妹への遺産相続を阻止しようとする。戦後混乱期における完全犯罪劇を描いている、新東宝配給のピンク映画。

別題「情痴妻 脱がされた長襦袢」「激入 主人よりずっといい」。肺病により引きこもり生活を強いられている青年(岡田智宏)が、単眼鏡で発見したヒロイン(=若妻)に横恋慕。読唇術を駆使しながら観察する、という一人称視点が採用されている。

青年が使用する単眼鏡があまりにも高精度であり、読唇術にもご都合主義の感が否めないが、江戸川乱歩調の世界観が構築されているため、グイグイと牽引させられる。言い過ぎかも知れないが、実相寺昭雄が展開していた乱歩作品に比肩するレベルとも言える。

中盤に差し掛かると、義妹(相沢知美)と女中(水原香菜恵)がレズ関係になり、完全犯罪を見抜こうとする展開に突入。夫婦の営みが暗がりにより視認できなくなる演出が刺激的であり、青年のエロ妄想が極地へと達するラスト・シーンに溜飲が下がる。
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