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007/ ロシアより愛をこめて 4Kレストアのkenのレビュー・感想・評価

3.5
2023年劇場鑑賞45作目

今回の007 60周年リバイバル上映において、私が主戦場とする映画館では基本通常フォーマットでの上映で、4Kレストアでの上映は本作のみ。唯一の特別枠には事前投票で選ばれた本作が。やっぱりボンドは初代様!?みなさん、わかってらっしゃる。

最も印象的なのはオリエント急行客室内での格闘シーン。本作の目玉。冒頭から顔を覗かせ執拗にボンドをつけ回すスペクターの暗殺者とついに対峙するボンド。スパイが秘密の合言葉を使ってやり取りするシーンを丁寧に見せていくのも面白い。特筆すべきはBGMのかからないファイトシーン。今時の映画ならアクションシーンで興奮湧き立たせるようなBGMがかかるところ、ここでは列車の騒音を背景にボンドとスペクターの彼が殴り合う。そのお陰か集中してじっくり観てられる。ロケーションが幅広く、ボンドと同じ旅をしている気分を味わえるのも映画の醍醐味かと。

ここ最近のボンド熱を牽引し、新たなファンを獲得してきたスタイリッシュな近代アクション・スパイ映画のダニエル・ボンドを観た後だと(自分もボンドデビューは6代目から)、本作はまだまだシリーズ初期のためかボンド映画として確立されていない粗さが目立つ様に思えた。ボンドがイスタンブールに着いて空港から移動するシーンや、ホテルにチェックインして部屋を見回るシーン。これらの特に見せ場でもなさそうなシーンでお馴染みの007のテーマがかかるが、なんで今なん?とタイミングが掴めていない様な気がした。でもここからシリーズ映画として磨かれていくことを思うと、それらを含めた気づきが面白くて、観るたびに発見のある本作。

『ラストナイトインソーホー』を観た時に印象的だった劇中で『007/サンダーボール』の大きな劇場看板が映るシーン。個人的には今よりも洋画というものが輝いていたと思う黎明期(?)に生まれ逃したことを、その時代に映画館で観れていたらな、といつも羨ましく思っていたが、今回のように好きな旧作を映画館で観られただけでも思い出ができたので嬉しかった。

ヘアリーで男くささ溢れるショーン・コネリーのボンド。ガンバレルシークエンスでピョンと跳ねるところが可愛い初代。
今ではMARVELヒーローでお馴染みの"will return"宣言はボンドから始まったのでは!?

長く愛される稀代のシリーズ映画、気になる7代目は誰になるのか?是非ヘンリー・カヴィルでお願いします!!
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