ビニールハウスのMonsieurおむすびのレビュー・感想・評価

#ビニールハウス
世代を超えて引かれ合う不遇の善人たちが織りなす幾何学模様は、負のスパイラルのようにも、解放のカタルシスのようにも写る。
息子と暮らしたいだけの主人公ムンジョンが、不意の事故をきっかけに徐々に堕ちていき、その様が大胆に、飄々としていく過程が恐ろしく、彼女の中に積もった暗黒面の深さを思わせる。
コーエン兄弟の犯罪劇のような無機質感。
半地下にも劣るビニールハウスが象徴する貧困と格差の現実でもがく、取り残された者たちの狂騒が哀しい。