松木之明

Ryuichi Sakamoto | Opusの松木之明のレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)
4.9
これは必ず映画館で観なければならない。

中学生の頃に坂本龍一先生の音楽に出会ったのだが、もっと早く知っておけばよかったと何度も後悔してきた。それは何故かと言えば、彼の演奏を生で聴いたことがないからだ。

しかしこの作品自体が、
僕を彼に会わせてくれたのかなと思う。

思い入れ深い曲目は幾つもあるが、やはり心に響くのは、実際に弾いたことのある「Aqua」や「Andata」などだった。

とはいえ、終盤の曲目で今日初めて聴いた「Trioon」が、音楽的にも映像的にも最も印象的だった。この曲の演奏中、彼の付近の照明がまるで月のように辺りを照らしていたが、僕には「来世への扉」のように見えた。そして「もう少し待ってくれ。」と言わんばかりの教授の演奏が、見事にマッチしていたと思う。

体力的にも限界だったということが色濃く伝わってきたが、痛みに耐える顔の裏に様々な思いが、彼の頭を回っていることも見えたような気がする。

『Ryuichi Sakamoto Playing the Piano 2022+』も昨年109シネマズプレミアム新宿にて鑑賞したが、この作品も現地で観てみたい。お金があれば行こうかなと。

上映後、劇場内で拍手が起こった。
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