まや

他人と一緒に住むという事のまやのネタバレレビュー・内容・結末

他人と一緒に住むという事(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

予告編で気になって鑑賞。
リアリティのある人物たちの群像劇。まるで本当に存在しているようなキャラクターで物語であることを忘れそうになる作品だった。音楽もあまりなくセリフで物語が進んでいくのでドキュメンタリーっぽくも感じた。

52歳の岩淵は無職で毎回誰かに口で上手いこと言ってお金を借りて生活している。このキャラクターがこの物語の登場人物をつなげていくのだが、本当にクソみたいなジジイ(言葉が悪いがこれがぴったりだった)で、演技とは思えないほどで嫌悪感があった。そのほか取り巻く人物たちも、ソーラーパネル販売で成功した社長と社員、フラフラしている美容師、その彼氏と友達、彼氏の元カノ等、人との繋がりでどんどん登場人物が増え、絡まり合っていく。

将来どうするの?と言うことがとにかくさまざまな登場人物に投げかけられ、その度気まずい空気になるのがヒリヒリしたし、すごくリアリティがあった。

だが、自分自身人に迷惑をかけないようにを常として生きているから登場人物のどのキャラクターにも感情移入できず、ただ人の人生を見せられている感が強かったので、特には面白くはなかった。

なかでも、常に男がいないといけないタイプの女性に関してもよくわからなくて、結局自分さえ良ければ周りは利用されるかされないかみたいな感じで、それがただ描かれているだけだった。そこから特に成長とかもせず、何が伝えたいのかがよくわからなかった。

また、同日にカウリスマキ監督特集を観ていたからかおじさんの描き方がどうも受け入れられなくて気持ち悪いと思った。若い女と当たり前のように付き合うとか結婚するとか、自分がまだいけると思う感じが無理だなと思ったし、カウリスマキ監督の映画に出てくるようなような渋くてかっこよいおじさんが1人もいなくてガッカリだった。(でもリアルを突き詰めたら確かに日本でそんなかっこいいおじさんっていないからいいのか...)

人間を描くと言う点ではかなりリアルだったけど特に何も感じることのない映画だった。
まや

まや