おしゃれなカフェに行った時に、この映画のポスターが貼ってあって近くにいた方がこの映画の事を教えてくれたから観賞。
「勝手にしやがれ」といったら私の中ではセックスピストルズのイメージ。
邦題をつけた人もすごい名前つけたね（笑）まぁ、セリフでも言ってたけど。
1959年製作のフランスの映画。
監督はジャン＝リュック・ゴダール！
私は初ゴダール作品。初ヌーベルバーグ。
英題は「Breathless」
ゴダールは監督・脚本は批評家としてデビューはしてたけど長編デビューはこの作品なんだね！
Wikiによると...
即興演出、同時録音、自然光を生かすためのロケーション中心の撮影など、ヌーヴェルヴァーグ作品の特徴を踏襲しつつも、物語のスムーズな語りをも疎外するほどの大胆な編集術（ジャンプカット）とそこから醸し出される独自性とが高く評価された。
だ、そうだ！
確かに。ものすごく大胆だった。手持ちカメラのブレとか、なんか偶然映り込んでしまったものとか。だけどそれが不愉快にならない感じ。むしろこの作品には合ってた！
隠し撮りもしてたらしい（笑）
だからか！
通りでの撮影はいきなりやったのかな？通行人たちがみんな物珍しい顔して役者を見てた。
思いっきりカメラ目線の通行人。だけど、なんかそれも味になってた。
撮影の仕方や、ビジュアルが有名な作品なのかな？って思ってたけど、物語もすごい面白かった！
最初っから、主人公のミシェルの性格が一言で分かるセリフではじまる。
「つまり俺はアホだ」
マルセイユで盗んだ車をかっ飛ばし、前の車が邪魔だ！あの女はブスだ！とか言いながら道をどんどん進みまくってあげく白バイに捕まりそうになる。だけど捕まるのが嫌だから警官を射殺する（笑）
そしてパリに逃亡！
パリで個性派ニューヨーカーの女子パトリシアに出会う。こうしてパリを舞台に話がすすんでいく。
このミシェルとパトリシアがこれまたすごい愛おしいキャラなんだよね。
ミシェルに関しては「とんだ風来坊だな！」って最初思ってたけど、
あそこまで本能のまま素直な言動をされると逆に愛おしくなってくるよね。
ミシェル役のジャン=ポール・ベルモンド、かっこいい！ハットが似合いまくってる。笑った顔が少年みたいでかわいい。ミシェルみたいな人、好き。
パトリシア役のジーン・セバーグも魅力的！ショートカットとフレアスカートが最高に合ってた！
そしてこの２人の会話がなんかいい。なんかしゃれてる。粋。そして身近。
ゴダールの作品はまだこれしか観てないけど、なんかイメージと全然違った！
もっと「芸術とは」とか「哲学とは」とかそういう小難しい系かと思ってたけど、全然そんなことなくってむしろ本能に正直な少年みたいな感じだった！
小難しさなんてなくって、けっこうシンプルに人間味あふれる作品だった。
あと、「え！？50年代の映画！？ほんと！？」って思うくらい全然古びれてないのがすごいと思った。
ミシェルやパトリシアの着てる服はおしゃれで今のパリでもいそうだし、街並みからも、映像からも、今から60年くらい前の作品だなんて全然感じなかった。すごいよね。
夜のパリの映像はとてもきれいで、特に車でコンコルド広場の横を通り過ぎたあたりの車内から見える外の夜景はすごいきれいだった。
古い街にてんてんと並ぶ街頭がぼやっと映るとことか。大好き。
白黒の良いところのひとつだと思う。ひかりの加減って。すごくきれい。
どのシーンすごく絵的にも素晴らしくって、眺めてるだけでも素敵な映画。
そしてゴダールさん。
わかってらっしゃる。
車が、すっごくかっこいいのばっかりだった！
ミシェルは何回も車泥棒してたけど（しかも上手い）。
トライアンフ・TR
1954年式キャディラック・シリーズ62コンバーティブル
アルファロメオ
シトロエンの2CV AZ
フォード サンダーバード
キャデラック エルドラド
車がどれもこれもカッコイイ！最高。
ミシェルの泥棒スキルもすごいし。
あとすごく印象に残ってるのは、人生の3つの表情。
１．アー（口を大きくあける）
２．イー（口角の上がった笑顔）
３．しかめっつら
人生は結局この３つだよ。ってミシェルに教わるパトリシア。
この時の２人の3つの表情の仕方がもうかわいすぎて印象に強く残ってる。
これを、最後にもやるよね。
で、ひとこと「まったく、最低だ！」だもんねー。
くぅーーーかっこいい！！！
映画の文法をぶっ壊した、映画史に残るこの１本。
いやぁ素晴らしかった！！
私フランス映画苦手なんだけど、これはとっても素晴らしかった！
良いもの観ました。
「海が嫌いなら、山が嫌いなら、都会が嫌いなら、田舎が嫌いなら、勝手にしやがれ」
もう！こういう人、大好き！
