ぶみ

シャクラのぶみのレビュー・感想・評価

シャクラ(2023年製作の映画)
3.0
俺が貴様を地獄へ送る!

金庸が上梓した『天龍八部』を、ドニー・イェン監督、主演により映像化した香港、中国製作のアクション。
丐幇の幇主であり、英雄的存在の喬峯(きょうほう)が、馬殺しの濡れ衣を着せられてしまったことから、自分を陥れた人物を探す旅に出る姿を描く。
原作は未読。
新年劇場鑑賞一作目は、上映館の少なさから公開二週目には上映回数が少なくなってしまうことが想定されることと、スカッとしたアクションが観たいと思い本作品をチョイス。
主人公となる武芸者・喬峯をイェン、彼の伴侶となる阿朱をチェン・ユーチー、阿朱の妹・阿紫をリウ・ヤースーが演じているほか、ウー・ユエ、カラ・ワイ、チョン・シウファイ、グレース・ウォン等が登場。
物語は、宋代の中国を舞台として展開していくが、歴史に疎い私は事前に予習しておこうと思い、公式サイトを見たところ、人物相関図があり、その人数の多さと関係性の複雑さに嫌な予感が走ったのだが、その予感は見事的中。
序盤から、見慣れない漢字や地名のオンパレードで、かつ案の定登場人物も多く、この人は誰だろうと思っているうちにどんどん話が進んでいってしまったのに加え、時代設定からして、映像自体の色に華やかさがなく、同じような寺院や山中のシーンばかりだけであることから、変化が少なめで話が頭に入ってこない状態に。
反面、同じくイェンが主演した『レイジング・ファイア』に続きアクション監督を谷垣賢治が担当しており、気を自在に操り、ダンスと武術を融合させた対決シーンは、重力無視でスクリーンの隅々まで所狭しと飛び回るものでありながら、あまり血飛沫は飛ばないかわりに火の玉登場と、リアリティ重視でななく、もはやファンタジーの領域。
前述のように、物語についていけなかったことから、仕組まれていたであろうサスペンス要素に対しても今ひとつ驚くことができなかったものの、アクションに関しては爽快感すら感じるキレ味で、邦画リメイクをするならば、主人公はジョン・ウィック繋がりで真田広之一択であると思うとともに、エンドロールが、文字を読ませることを前提としていないと思しきスクロールの速さを見せる一作。

何事も、因があり果がある。
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