はんそく負け

ゴールド・ボーイのはんそく負けのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
3.7
配役がどれもあまりにしっくり来ることにビビり散らしていた。羽村仁成の質朴な振る舞いや松井玲奈の華奢な佇まいも素晴らしいが、北村一輝の妻演ずる花澄の存在感が特に凄まじい。黒木華に詰め寄る際はまるで幽霊みたいだったし、墓前で涙するシーンでも黒目の大きさに違和感があって、やっぱりちょっと怖いんだよね。娘を亡くした時点でもう向こう側の人になってしまったというか。そういう雰囲気を纏っていて。出演時間こそ少ないものの確かなインパクトを残していた。
あとは台詞の応酬にあんまり間がなくて、それはパッパと進むためでもあるんだろうけど、余韻を無くすことでほんの少し、ほんの少しだけ冷徹な印象を心に残していく。それがある種の伏線になっているんじゃないか。そしてだからこそ、振り返るという動作が胸を打つものになっている。